最も手軽な「1杯抽出カプセルタイプ」
「味」はもちろんとして、その他にコーヒーメーカーを使う上で気になるのが「使い勝手の良さ」や「メンテナンス性」「ランニングコスト」だろう。「使い勝手の良さ」と「メンテナンス性」が圧倒的にいい、「手軽さ」が魅力のコーヒーメーカーとして紹介したいのが「1杯抽出カプセルタイプ」だ。専用のカプセルを所定の場所に入れてボタンを押すだけで、自動的に決められた分量のコーヒーが抽出される。
メンテナンスは基本的にタンクの水を交換することと、抽出後のカプセルを捨てるだけ。専用カプセルが必要なためランニングコストは決して安くないが、コンビニに行く手間や時間は不要だし、数十種類前後のカプセルが用意されていてバリエーションも豊富だ。省スペース設置できるモデルも多いので、エントリーに最適といえる。
こだわりのドリップコーヒーを手軽に味わえる
最初に紹介したいのが、UCC上島珈琲の「DRIP POD DP1」だ。1杯抽出カプセルタイプというと、高圧をかけて短時間で抽出するエスプレッソが中心だが、DRIP PODはその名の通り圧力をかけずにドリップするタイプとなっている。
魅力は「雑味のないすっきりとした味わい」だろう。エスプレッソは高圧で素早く抽出するため、豆の中の雑味も出てしまう。これはこれでエスプレッソならではの味わいだが、DRIP PODはハンドドリップの味を追求した澄んだ味が特徴。さらにカプセルは20種類要しているが、コーヒーだけでなく紅茶や緑茶も味わえるのが大きなポイントとなっている。カプセルは1杯57円のお手軽タイプから、特別な日に味わいたい1杯2160円のプレミアムタイプまで幅広い。
コーヒー、紅茶、緑茶用に、抽出する温度や蒸らし条件、抽出速度が異なる専用ボタンが用意されており、抽出量も70mlから200mlまで好みに合わせて7段階で設定できる。
https://www.ucc.co.jp/drip-pod/
エスプレッソだけでなくラテやカプチーノも楽しめる
続いて紹介したいのが、ネスレの「ドルチェ グスト」だ。16種類のカプセルをラインアップしているが、その特徴は「ミルク」にある。エスプレッソやレギュラーブレンドといった定番コーヒーに加えて、カフェオレやカプチーノ、ラテ マキアート、ティーラテなどのミルクを使ったカプセルを用意している。
仕組みは単純だ。コーヒーや紅茶のカプセルを入れて抽出した後に、ミルクカプセルを入れて抽出することでこれらのメニューを手軽に作れる。カフェオレの場合はコーヒーとミルクが1カプセルになっており、より手軽に味わえる。レギュラーコーヒーやエスプレッソ、カフェオレなどは1杯57.75円と手ごろ。ミルクカプセルを別途使うメニューは1杯115.5円となっている。
http://nestle.jp/brand/ndg/product/genio2_premium.html
エスプレッソの味にこだわるなら
1杯抽出カプセルタイプでエスプレッソの味にこだわりたい、たくさんのカプセルから好きなものを選びたいという人にお勧めなのがネスプレッソの「ラティシマ・タッチ」だ。ネスプレッソはネスレネスプレッソが提供するカプセルタイプのコーヒーで、カフェインレス4種類、フレーバーコーヒー3種類を含めた23種類ものカプセルを用意している。
カプセルの値段は1杯75.6円〜85.4円と、他の2種類に比べて若干高い。カプセルはネスプレッソの直販のみというのも面倒な点だ。しかしワールドワイドで販売されていることもあり、「カフェッソ」や「カフェ インプレッソ」、「カフェロイヤル」といったネスプレッソ互換のカプセルも家電量販店やネット通販などで販売されている。
ラティシマ・タッチは「リストレット」(25ml)、「エスプレッソ」(40ml)、「ルンゴ」(110ml)のコーヒーメニューに「ラテ・マキアート」、「カプチーノ」、「ホットミルク」のミルクメニューを加えた6つのボタンを搭載。ミルクタンクのミルクを使うことで、これらのメニューを手軽に味わえる。抽出量も好みに合わせて変えられるので、いつでも同じ味をワンタッチで楽しめるのが魅力だ。
https://www.nespresso.com/jp/ja/lattissima-touch
豆にこだわるなら「全自動コーヒーメーカー」
1杯抽出カプセルタイプは手軽さが魅力ではあるものの、好きなコーヒーを豆から選びたいというニーズには全く合わない。豆から選びたい、でも挽き方や淹れ方まで徹底的にこだわるのではなく、手軽に好きな種類のコーヒーを味わいたいという人にオススメなのが「全自動コーヒーメーカー」だ。
全自動コーヒーメーカーはコーヒーミルが付いており、豆を挽くところから抽出まで全自動で進めてくれる。細挽きや粗挽きまで指定できる機種も多い。粉にも豆にも対応する全自動コーヒーメーカーなら、粉だけに対応するコーヒーメーカーよりも選択肢が広がる。粉よりも豆の方が酸化に強いので、長持ちするというメリットもある。たくさんある中から、1機種エントリーモデルを紹介しよう。
コンパクトで手軽に楽しめる全自動エントリー機
使い勝手や機能面では他にもいいモデルはあるが、コストパフォーマンスとコンパクトさで圧倒的に魅力的なのがこのモデルだ。コーヒーミルを内蔵しながら、幅17.3×奥行き22cmと、B5用紙サイズよりもひと回り小さいくらいの設置スペースで済む。
タンクに水を入れ、コーヒー豆をセットしてスタートボタンを押すだけで、自動的に豆を中細挽きにして抽出してくれる。フィルターにはステンレスメッシュフィルターを採用しているので、ペーパーフィルターをセットする手間もかからない。
コーヒー豆を挽いたりコーヒーを淹れるミル付きバスケットは丸ごと取り外せるので、手入れもラクだ。挽き分け機能などは搭載していないが、好みの豆を使って手軽に楽しんでみたいというエントリーユーザーにとっては使いやすいだろう。
ステンレスサーバーを採用しているが、サーバー自体に保温性はない。とはいえ、ガラスサーバーとは違って割れる心配がないので扱いやすい。
https://www.siroca.co.jp/products/brand/siroca/stc-501.html
エスプレッソを徹底的に味わうなら「エスプレッソマシン」
最後に、世界中で親しまれているエスプレッソマシンを紹介しよう。エスプレッソマシンというと、コーヒー粉をフィルターに詰めて押し固めてから抽出するというイメージを持っている人も多いかもしれない。これは粉の入れ方や「タンピング」と呼ばれる詰め方にコツが必要で、決して簡単ではない。しかし今は「カフェポッド」や「エスプレッソポッド」と呼ばれる、紙パックに封入されたコーヒー豆を使って抽出するタイプが主流となっている。これを使えば、手軽に多くの種類のエスプレッソを味わうことができる。
カフェポッドも粉も使える“両刀遣い”マシン
デロンギのエスプレッソマシンは1万円台のエントリーモデルから10万円を超える全自動マシンまで幅広いラインアップをそろえている。その中で最もコストパフォーマンスがいいのがこの「ECO310」だ。
最も安い「EC221」(実勢価格1万5000円前後)なども、イタリアのメーカーらしい、丸みを帯びたかわいらしいデザインだが、高級感には欠ける。その点、ECO310はスチールボディーに優雅な曲線美、塗装の仕上げもEC221とは比べものにならないほどの高級感がある。機能面では本体上部にカップウォーマーが付いている程度でほぼ違いはないのだが、デザイン面では圧倒的にECO310に軍配が上がる。
従来からのコーヒー粉用のフィルターホルダーに加えて、直径44mmのカフェポッドに対応するフィルターホルダーも付属している。最初は手軽なカフェポッドでスタートし、その後コーヒー粉を使うといったようにステップアップするのもいいかもしれない。スチームノズルも付属しているので、ミルクフォームを作ってカプチーノなどを楽しむこともできる。
http://barista.delonghi.co.jp/products/eco310b.html
(文/安蔵靖志)
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。総合情報サイト「日経トレンディネット」、「NIKKEI STYLE」などで執筆中。近著は「予算10万円以内! 本気で原音を楽しむハイレゾオーディオ」(秀和システム)。KBCラジオを中心に全国6放送局でネットしているラジオ番組『キャイ~ンの家電ソムリエ』にも出演中。
- 1
- 2