■アルミホイルの塗装
下降部船体のブランケットシートは、金色の部分と黒の部分があります。金色の部分は、かなり赤みが強いゴールドといった色味なので、タミヤラッカー塗料のクリアーオレンジにクリアーイエローを20%程度加えたカラーで塗装することで、金箔と同等の質感を再現できます。
クリアーオレンジの塗装が乾燥したら、マスキングをして黒の部分を塗装します。子供時代からアポロマニアを自負して、何度もプラモ作っていますが、LMの正確な塗分けは今回初めて知りました。ちなみにシートの張り方はミッションによって異なっていて、LMのカラーリングもミッションごとに微妙に違うのだそうです。
■下降部の組み立て
塗装が完了したらLM下降部本体に、折りたたんだ状態の4本の脚を取り付けていきます。アルミホイルを貼った部分はプラスチック用接着剤が効かないので、瞬間接着剤を使用します。
いよいよ完成が見えてきました。次回はLMの上昇部を製作します。お楽しみに!
★達人流製作のポイント!
①アルミホイルでブラケットシートをディテールアップ
②アルミホイルにクリアーオレンジで金箔の質感を再現
■月着陸船(Apollo Lunar Module)とは
月着陸船は、何とも言えない独特なスタイルをしています。宇宙飛行士からはバグ(虫)とかスパイダーと呼ばれていました。アポロ10号ではSNOOPYの愛称で呼ばれていたそうです。
設計と開発はグラマン社(現ノースロップ・グラマン社)で、複雑な多面体構造の船体は、究極の軽量化の結果生み出されたもの。2人の宇宙飛行士が乗るキャビンはアルミ合金ですが、ほとんどの部分はアルミの骨組みに断熱のための薄い金属箔(最も薄い分は0.25mmのアルミ板のみで月の真空から飛行士を隔てていた)のハリボテみたいな構造でした。
室内は電話ボックスふたつ分くらいのスペースしかなく、宇宙空間および月面でしか運用されないため、操縦席には椅子もありません。
そして船体は上昇部と下降部に分かれ、月からの帰還の際には、下降部は発射台となり月面に残されます。
お値段は1機7000万ドル。アポロ13号では、この月着陸船を救命ボート代わりに使いました。LMは本来2人の飛行士を45時間生存させるだけの設計でしたが、バッテリーや酸素をギリギリまで切り詰めて、3人の飛行士を地球軌道までの90時間生存させることに成功しました。
映画『アポロ13号』の中で、破損した機械船のエンジンが使えないためLMの降下用エンジンを使って地球帰還のための加速を行うとなった際、グラマン社のスタッフが「そんな使い方は前例がなくて安全性は保証できない」と管制官に喰ってかかるシーンが印象的でした。
ちなみにアポロ計画は捏造で、実は人間は月にいっていない陰謀論がよく話題になりますが、2007年に打ち上げられた日本の月面探査衛星「かぐや」が、1971年に月面着陸を果たしたアポロ15号が月面“雨の海”に残したLMの下降部を撮影しています。
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<製作・写真・文/長谷川迷人>
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