デカールのシルバリングを抑えてフィニッシュワーク【達人のプラモ術<SR-71Aブラックバード>】

■デカールを理解しておこう

スケールモデルに付属しているデカールは水転写シールのことを言います。薄いフィルムにさまざまなマーキングを印刷したものです。

台紙を水に浸すことで水溶性の糊が溶けてフィルムが浮くことで、貼れるようになります。デカールのフィルム自体は水溶性の糊なので、乾燥すればキット表面に定着します。ただし薄いフィルムなのでラフに扱うと破れたり丸まってしまったりといったトラブルを起こすことも。また古いキットで保管状況が悪かったりすると、デカールフィルムに黄ばみやクラックが入る、カビが生じるといった劣化が起こる場合もあるので注意が必要です。

▲キットの付属するカルトグラフ製デカール。シルクスクリーン印刷なので、黒い塗装の上に貼った白や赤といったデカールでも透けることがない

 

■シルバリングとは?

デカールは薄く柔軟性のある透明なフィルムです。密着度が高くキットの表面に定着するようになっていますが、ミリタリーモデルの多くにみられる艶消し塗装(塗装面が梨地仕上げ)の場合、フィルム自体に光沢がある場合が多く、塗装面との質感の違いで、いかにも貼りましたという仕上がりなるのが悩みどころです。

またつや消し塗装の場合、塗膜表面の凹凸によりデカールのフィルムが表面に密着できず空気が入り込み、デカールの乾燥後にフィルムが白く浮いたように不自然な仕上がりになってしまうことがあります。これをシルバリングと呼びます。定着力も低下するので乾燥後に剥がれてしまうといったトラブルの原因にもなります。

 

■セミグロスクリアーでシルバリングを防ぐ

今回製作している「1/144 SR-71A ブラックバード」のキットにはイタリアのデカール専門メーカー、カルトグラフ社の色透けやにじみなどもない高品質デカールが付属しています。とは言うものの、機体の塗装をつや消しで仕上げているため、このままデカールを貼るとシルバリングを起こす可能性があります。

そこで予防措置としてセミグロスクリアーで塗装面をオーバーコートして平滑(ツルツル)に仕上げておきます。平滑な塗装面であればデカールが密着するのでシルバリングを防げるからです。

▲オーバーコート塗装に使用したタミヤラッカーのセミグロスクリアー。より光沢のあるクリアーでも構わない。要は塗装面を平滑にするためのもの

▲セミグロスクリアーを薄め液1:塗料1で希釈してエアブラシでオーバーコート塗装することでデカールのシルバリングを防ぎ、密着度をアップさせることができる

▲セミグロスクリアーで平滑となった機体にデカールを貼っていく

▲艶消し塗装のままだとデカールと塗装面の間に空気が貼り込みやすくなり、シルバリングの原因となる

 

■デカール軟化剤で密着度をアップ

キットは、シャープなモールドで細かなディテールが再現されています。しかしこれが悩ましい存在で、デカールが密着しにくく、シルバリングの原因になる場合があります。そこでMr.マークセッター(GSIクレオス)やマークフィッター(タミヤ)を使ってデカールをしっかりと密着させます。

▲SR-71はマッハ3飛行時の熱で膨張する機体の歪みを防ぐため主翼の外板が波板構造になっている。1/144ということもあって細かなモールドで波板構造が再現されているのだが、ここに赤いラインのデカールを馴染ませるのが難しい

▲Mr.ホビーのマークセッターはデカール軟化剤に加えて接着力をアップさせる糊の成分が含まれている。タミヤ製マークフィッターは軟化剤のみだ。どちらもデカールのフィルムを軟化でき、波板を再現したパーツ表面でもデカールを密着させられる

 

【次ページ】自然な艶消しを目指す!

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