古典SF映画の傑作『地球最後の日』に登場する宇宙船を製作【達人のプラモ術<宇宙船アーク号>】

■宇宙船といえば白銀の流線形ロケット!

映画で登場する宇宙船アーク号のデザインは、いわゆるロケット型。白銀色の流線形が実にカッコ良いのです。当時のSF映画に登場する宇宙船といえばロケット型のデザインが最先端でした。もしくは『禁断の惑星』(1956年)に登場する宇宙船C-57Dのような空飛ぶ円盤的なデザインのどちらか。

アーク号はロケットですが新惑星(映画ではザイラ)に着陸するために大きな主翼が付いています。こうしたロケット型宇宙船のデザインは第二次大戦でドイツが開発したV-2ロケット(世界初の弾道ミサイル)の影響が大きいのだと思います。

ジョージ・パルの出世作『月世界征服』(1950年)に登場するルナ号も、まさにロケット!なデザインですし、59年に公開された東宝SF『宇宙大戦争』に登場するスピップ号、62年公開の『妖星ゴラス』のJX-1鳳号とJX-2隼号もロケットスタイルでした。SF映画で宇宙船のデザインが大きく変わるのは、SF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』(1968年)からですが、この話は書くと長くなる(暴走する)のでまたの機会に。

▲ペガサスホビーがキット化している『月世界征服』に登場する月宇宙船ルナ号。銀色に輝く船体!もう文句なしのSFロケットであります。

 

■キットはジオラマ仕様

ペガサスホビーはSFモデルを中心に飛行機やAFVモデルを積極的にリリースしているアメリカの模型メーカーで、エリア51のUFOなんてキットも出しています。今回製作のアーク号は、打ち上げ用のカタパルトも付属しており、ジオラマモデルとして製作できます。

アーク号自体のパーツは17個、いゃあ実にシンプルです(笑)。

▲打ち上げ用のカタパルトを再現したジオラマベースを含めてもパーツは26点。実にシンプル

▲バキュームフォームで成形されたジオラマベース。塗装することでリアルな仕上がりになりそうだ。大判のタイトルプレートが付属する

ジオラマベースはバキュームフォーム(真空成型された薄い樹脂、ペナペナな卵のパックみたいなモノ)製で、地面と植物が一体で成型されており、そこにカタパルトを組む構成。これに「WHEN WORLDS COLLIDE」のタイトルプレートが付属しています。

▲アーク号とカタパルトを借り組みした状態。劇中での打ち上げ用カタパルトはもっと長い

劇中のアーク号は、ツルツルというか機体表面にパネルラインのようなディテールがほとんどありません。カーゴベイハッチと垂直尾翼のラダーのモールドのみです。

ただパーツの表面は随所にヒケ(エクボのような表面のヘコミ)があるので、パーティングラインと併せてパテを使いヘコミを均す修正が必要です。流麗なフォルムがロケットの命ですからね、表面処理大事です(笑)。

▲アーク号の機体各所にヒケがあるのでパテを使って修正する必要がある

 

■LEDで電飾モデリング

ジオラマである以外は実にシンプルなキットだけに、ちょっと物足りない感じです。そこでLEDを組み込んでロケットのエンジン噴射口を光らせることにしました。
LEDは市販の工作用のものをハンダ付けして使用しています。

▲エンジンノズルを発光させるため、使用した赤色LED。エンジンノズルに合わせて4点使用

▲市販の工作用で抵抗をハンダ付けする必要があるが工作は難しくない

▲LEDを発光させた状態

▲電源は9V電池を使用

▲電源はジオラマベース裏側に組み込む予定

▲胴体内側は、LEDの光漏れを防ぐために、つや消し黒で塗装

▲LEDを取り付けるエンジンノズル内側はフィニッシュシートのシルバーを貼ることで光漏れを防ぐ

▲配線は胴体下側から取り出して、ジオラマベースの電源に繋いでいる

*  *  *

というワケで今回のセンス・オブ・ワンダーはここまで。次回は銀色に輝くアーク号の塗装とジオラマベースの製作を進めていきます。お楽しみに!

 

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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