■色プラを塗装する意味
塗装というと色を塗る…まぁ実際そういうことなんですが、プラモデルの塗装は質感の再現の手段と思ってください。素材のプラスチックを金属や木のように見せる。以前制作した戦車のウエザリング(汚し塗装)も質感の再現です。要は“らしさ”を再現するためのものだと思っていただければいいと思います。
今回製作する「しんかい6500」の船体を覆う外装パーツは樹脂製なので、質感はぶっちゃけ塗装しなくてもOK!って感じなのですが、そこはそれ、塗装することで、よりリアルな質感と雰囲気を再現できるんです。またカメラやライトといった観測機器のパーツは色プラでも再現し切れていないので、塗装でより細かく塗分けて仕上げています。
■塗装の天敵は湿度?
外装パーツはラッカー系塗料のセミグロス(半つや)ホワイトで塗装するのですが、今回は塗装面がざらつてしまうカブり現象※に悩まされました。ラッカー系塗料を使用する場合のみ雨の日の塗装はNGがお約束です。ちなみに水性塗料ではカブりはおきません。
※塗料した際に、溶剤の蒸発に伴って気化熱で塗装表面の温度が下がるのですが、そこに凝縮した空気中の水分が塗料表層に混ざってしまうため、塗装表面が曇ってムラになってしまう現象。雨天時など湿度が高いとおきやすい
■耐圧球のハッチの直径は50cm!
組み上げた艦橋後部を上から覗くと、耐圧球のコニカルハッチが見えます。ちなみに以前しんかい6500の取材でこの耐圧球の中に入ったことがあるんですが(当然地上ですよ)、ハッチの直径が50cm!しかないため、乗り込みにはかなり苦労した記憶があります。現在ウエストサイズが80cmあるので絶対に乗れませんね(当時は痩せていた)。間違いなくハッチに詰まります。
実際パイロットはかなりスマートな方でした。取材は直径2mの耐圧球の中でカメラマンとパイロットと3人でまさにひざを突き合わせて1時間。なかなかできない体験でありました。「しんかい6500」をより知りたい方はぜひこちらに。
■今週の潜水艦ネタ(爆)
「しんかい6500」などの深海潜水艇、はたまた潜水艦は達人の大好物でもあります。そして愛してやまないセンス・オブ・ワンダーの世界でも、潜水艇や潜水艦は欠かせない存在なんですね。というわけでプライベートで少しづつ製作しているのがコチラです。
ジュール・ヴェルヌが1870年に執筆した冒険小説『海底2万マイル』をディズニーが1954年に映画化した際に、劇中で登場するノーチラス号をモデル化したものです。全長約60cm、お値段は最新のスマホと同じくらいする海外製フルレジンキットで、中身は超難物。製作もなかなか進みません、現在艦内をプラ板で自作しています。それでもカッコ良いのは事実。何度見ても惚れちゃいます。
『海底2万マイル』は何度も映画化されて、様々なノーチラス号が登場しますが、このノーチラス号のデザインを超えるものはないですね。なので頑張って完成させたいです。
* * *
今回は船体の製作、そして塗装にスポットを当てて製作を進めました。次回はいよいよ海底のジオラマを一気に進めていきたいと思います! またまたお楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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