スケールエフェクトを考えて調色した赤で機体を塗装!【達人のプラモ術<サボイア マルケッティ S.55>】

■機体各部の製作

さて、機体の塗装と組み立てですが、組み上げた主翼と双胴の艇体、後部の胴体フレーム、水平尾翼と垂直尾翼を組み合わせた部分に分けて進めていきます。特徴的すぎる機体構造ゆえ、機体全体を組み上げての塗装が難しいのと、組み上げてしまうと、後部フレームなどに強度がないため、マスキングなどが困難という理由から、それぞれを塗装してのち、組み上げます。

機体後部で尾翼を支えるフレームは、主翼と艇体の2カ所で固定されるのですが、こんな構造で大西洋横断できたんかいと不安になります。模型的にも明らかに強度がないので、接合部分は0.5ミリのしんちゅう線を埋め込んで補強しています。同様に3枚ある垂直尾翼の中央翼、水平尾翼のラダーも同じようにしんちゅう線で補強しないと強度が保てません。いや~手強いキットです(笑)。

▲胴体ブームはエッチングバーツをフレームの間にエッチングパーツはめ込んで製作

▲主翼上に取り付けるレジン製エンジンとエンジンマウントを仮組した状態。左右合わせのマウントは、角度決めが難しく、強度も出ないのが辛い

▲3枚ある水平尾翼の中央翼はまさに点付け! そのままでは取り付け不可能なので金属線を埋め込んで差し込めるようにした

▲水平尾翼のラダーも同様に金属線を埋め込んで強度を確保している

 

■機体の赤は調色で

機体の赤色ですが、これがなかなか悩ましい色です。実機は失われているし、ブラジル・サンパウロ州にあるTAM航空博物館に現存している機体は復元された機体ですから機体色が正確なものかどうかわかりません。

イタリアの跳ね馬フェラーリであればイタリアンレッドでしょう! となるのですが、同じメイド・イン・イタリアであっても、飛行機モデルに塗ってしまうと鮮やかなイタリアンレッドはミニカー的な仕上がりになってしまうんですね(特にS.55の機体は木製でパネルラインがほとんどないので、赤いカタマリに見えてしまう)。

そこで今回、機体に塗装した赤は調色(Mr.カラー108番キャラクターレッドをベースに68番モンザレッドと33番あずき色を調色して彩度を抑えた赤)。仕上げも半光沢として、さらに動翼等のラインに僅かに影を入れることで、ベタな単色塗装にならないようにメリハリを持たせて塗装をしています。

▲機体のパネルラインや動翼部分に淡く黒を塗装することで、機体色の赤を重ねた際に立体感のある影色の効果を得られる

▲機体色の赤は調色で自作したカラーを使用

▲鮮やかになりすぎないように、彩度を抑えた色調で1/72の飛行機モデルとしての雰囲気を重視して塗装している

▲機体色の赤の塗装が完了した各パーツ

 

■フロート裏側の色が分からない

艇体は側面に白ラインが入り、下側側面部分は黒に塗られています。また飛行艇のフロート(艇体)裏側部分は機体色と異なる塗装がされている場合が多いのですが、S.55の場合どうなっているのか分からなかったので、側面と同じ黒で塗装しています。

▲赤の塗装の乾燥後に艇体をマスキング

▲フロート部をセミグロスブラックで塗装、さらに側面の白ラインを入れていく

▲塗装が完了した艇体部分

▲しかし白のライン幅が太くなりすぎたので、再度マスキングして修正

▲塗装が完了した艇体にデカールを貼った状態

▲塗装が完了した艇体にデカールを貼った状態

 

【次ページ】いよいよ機体を組み立てる

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