格安SIMの話を始める前に、まず「SIMカード(シムカード)」について知っておく必要があります。SIMカードとは、Subscriber Identity Module Cardのこと。やや強引に和訳すると「加入者識別機能カード」といったところでしょうか。提供元や通信規格によって正式名称が異なるので、「UIMカード」などと呼ばれることもありますが、こうしたICカードを総称して「SIMカード」といいます。
SIMカードには、スマホで通話やデータ通信を利用するために必要な、電話番号などの情報が記録されています。実は、スマホ単体ではモバイルネットワークを利用した通信は行えません。必ずSIMカードを挿入する必要があるのです。
つまり、「スマホの通信プランを契約する」というのは、「利用可能なSIMカードを入手する」と同義になるわけです。NTTドコモなどの大手キャリアで契約する場合でも、端末が渡される際に、既にSIMカードがセットされています。
「格安SIM」と「MVNO」について
前置きが長くなりましたが、話を「格安SIM」に移しましょう。
「格安SIM」とは、MVNOとよばれる通信事業者が提供する割安な通信プランの総称です。MVNOとは、Mobile Virtual Network Operatorの略で、日本語だと「仮想移動体通信事業者」と呼ばれます。
「Virtual(仮想)」という単語が入っている通り、こうした事業者は実態としての通信網を所有していません。ではどうしているのかというと、NTTドコモやauといった大手キャリアに利用料を支払うことで、通信網の一部を借りて通信サービスを提供しています。設備投資が少なく済むので、割安な通信プランを提供できるわけです。
また、割安な通信プランを提供できる理由には、販売をオンライン中心にし、人件費を抑えているという側面もあります。(ただし、昨今は直営の実店舗を構え、サポート体制を充実させるMVNOも増えてきているので、ひと言でまとめるのは難しくなってきました)
ちなみに、格安SIM関連の記事では、「Virtual(仮想)」という単語が入らないMNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)という単語もよく出てきます。こちらは、NTTドコモやauなど、通信網を実際に所有している通信キャリアのことを指します。