夏といったら恐竜でしょ!恐竜骨格模型をジオラマで製作!【達人のプラモ術<恐竜骨格模型>】

■いざ製作スタート! まずはティラノサウルスを作る

まずは昨年に発売されたティラノサウルから製作を進めていきます。

製作は頭部、胴体、足といった順番でサクサクと組むことができます。キットは獲物に飛び掛かる瞬間の体を折り曲げた姿勢が正確に再現されており、ティラノサウルスの骨格構造が「腹骨(腹肋骨)が皮膚と連動し、よじれや密着するような形状がこうなっているんだ」と理解できます(正しい科学プラモデル!)。

キットのままでも良いのですが、第2弾として発売されているトリケラトプスと組み合わせて恐竜の対決を再現するつもりなので、ティラノサウルスのポーズには手を加えていきます。

▲まずはアタマから制作開始。あえて固定ポーズで可動部分はなく、接着剤を使わないスナップキットなので、サクサクと組み立てを進められる。下顎骨には神経が通っていた溝なども正確に再現されている

▲組み上げた胴体部分。ティラノサウルのあばら骨は左右で22本ある

▲キットは接着剤を使用しないスナップモデルだが、作例ではポーズ変更するので、パーツを組み上げたあとに流し込み接着剤でしっかりとパーツを固定

▲44個の骨で構成される尻尾は分割が工夫されており、パーツの接合線が表に出ないようになっている

▲組み上げた胴体と長くつながる尻尾。頭と足がないのでモモサウルスのような海龍のようにも見えるのが興味深い

▲組み上げた頭部、胴体、胸と腕の付け根となる鳥口骨を組み上げ、最後に足を取り付ければ完成となる

▲貧弱な腕にくらべて、太くたくましいティラノサウルスの足の骨

▲キットは、獲物にとびかかるためにぐっと足を縮めた、とびかかる寸前のポーズを再現しているため、両足は地面から離れており、付属の専用スタンドでベースに固定できる

▲付属の専用展示ベース。泥の上に残るティラノサウルスの足跡や植物の葉などがリアルにモールドされているので、丁重に塗装して仕上げたい

▲箱を開けてから1時間で完成したティラノサウルス

▲スタンドを使わず展示ベースに直接立たせてみた

 

■イメージはヒューストン自然科学博物館のレインvs.スタン

昨年夏にパシフィコ横浜で開催された『恐竜科学博ラミディア大陸の恐竜物語』において、ヒューストン自然科学博物館が所蔵している世界で最も有名なトリケラトプスの化石、通称LANE(レイン)と、1992年にほぼ完全な状態で発掘されたSTAN(スタン)と呼ばれるティラノサウルスの骨格化石が公開されました(当然ながらそのスタンとレインに会いに行きました!)。そこで観たレインに襲い掛かろうとするスタンの躍動感のある展示をイメージソースにレインvs.スタンのジオラマの製作を進めていきます。

▲『恐竜科学博ラミディア大陸の恐竜物語』の公式ガイドブック。恐竜模型製作としても資料性満点

▲間近で観るティラノサウルス(発見者の名前からスタンと呼ばれる)の完全骨格は迫力満点。動的なポーズなど今回のジオラマ制作の参考にしたい(写真:長谷川迷人)

▲ほぼ完全な状態の化石として発掘されたトリケラトプスのレイン。次回の制作では大いに参考にしたい。実物を前にするとその迫力に圧倒される(写真:長谷川迷人)

 

■意外に古くからあった恐竜プラモデル

日本での恐竜プラモは、昭和40年代の怪獣ブームの際にいくつか発売されていました。当時は恐竜と怪獣も一括りの扱いだったと記憶しています。当時怪獣ブームのきっかけを作ったのが映画『ゴジラ』(1954年公開)になるわけですが、劇中で山根博士が「ゴジラは二百万年前の海棲爬虫類から陸上獣類に進化する過程の生物」と言っているので、当時の子供は怪獣=恐竜と擦りこまれております(笑)。ちなみにゴジラのプラモデルは1964年にマルサンが発売していました。さて怪獣プラモは脇に置いて恐竜プラモの話に戻りましょう。

1960~’70年代当時、恐竜プラモといえば海外製一択でした。オーロラ(アメリカのプラモデルメーカー)がティラノサウルスやプテラノドン、トリケラトプスやマンモス等をプラモ化しており、日本でも販売されていました。

オーロラは1977年に倒産しましたが、モノグラム、レベルが金型を受け継ぎ、恐竜プラモは長く発売されています。少年時代に憧れた恐竜プラモは…海外プラモということもあってそれなりに高価で、子供のおこづかいではおいそれとは買えない、言うところのガラスケースのプラモデルでした(遠い目)。

※ガラスケースのプラモ
一昔前は、高価なプラモデルや海外製のキットは模型店の棚ではなく、ガラスケースの中に並べられていて、子供には触ることができない、触らせてくれない憧れのプラモデルだったんですねぇ。

▲小学生だった70年代、当時欲しくても買えなかった(買ってもらえなかった)オーロラのティラノサウルス。考証が古いので、尻尾を地面につけて歩いているスタイルで再現されている(※最新の考証ではティラノサウルスは、歩く際に体のバランスを保つために尻尾は地面につけず持ち上げられていたとなっている)

次回はトリケラトプスを製作します、お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

【関連記事】

◆科学×プラモ=男のロマン!? バンダイ「1/48 しんかい6500」をジオラマ化!【達人のプラモ術<しんかい6500>】
◆映画にもなった宇宙船「アポロ13号」の破損状態を製作!【達人のプラモ術<アポロ13号>】
◆舞台は1920年代!イタリアの双胴飛行艇を製作【達人のプラモ術<サボイア マルケッティ S.55>】

トップページヘ

この記事のタイトルとURLをコピーする