傑作ヘリ「SH-60」米海軍HSL-51“ウォーローズ”所属機を製作【達人のプラモ術<SH-60B シーホーク>】

■大ベストセラーヘリ「SH-60」とは

SH-60はもともと駆逐艦などに搭載される多目的として開発されたものですが、基本性能が高く、さまざまな派生型が作られ、西側諸国の多くが採用している傑作機です。アメリカでは航空母艦搭載の艦上対潜哨戒用「H-60F オーシャンホーク」、救難用「HH-60H レスキューホーク」、沿岸警備隊の「HH-60J ジェイホーク」、さらにSH-60BとSH-60Fの後継として開発された「MH-60R シーホーク」「MH-60S ナイトホーク」、海上自衛隊で活躍している「SH-60J」も派生型のひとつです。

▲SH-60Bをベースに自衛隊独自の改良が加えられたSH-60J

▲HSL-51(第51ヘリコプター海洋打撃飛行隊)“ウォーローズ”のエンブレム。日本人的には十手を持つ岡っ引きに見えるが、トライデント(三つ叉の矛)を持つ宮本武蔵なのだそうだ

▲キットは2022年9月に発売。イタレリ「SH-60」のキットにディテールアップ用のレジンパーツとエッチングパーツを追加、さらにカルトグラフ製のHSL-51 ウォーローズ専用デカールとキャノピーのマスクシールが追加されている

▲付属のデカールは2008年~2010年の機体3種類から選べる

▲垂直尾翼に描かれているのは宮本武蔵だ

 

■ヘリのプラモは難しい?

ヘリコプターのプラモデルは、近年スケールを含めてバリエーションも多くなりました。カテゴリーとしては飛行機プラモになるワケですが、どちらかと言えばマイノリティ的な扱いを受けているような気がします。理由は作るのが難しいとか、地味とか、まぁいろいろ言われてはいますが…。

実は2020年の年末に公開された『プラモの達人も苦戦する!? 作りがいMAXな2021年発売の高難易度プラモ5選』という記事の中でも「ヘリコプターモデルはハードルが高い」と書いています。確かにコクピットや大サイズのウインドパーツ等、飛行機モデとは組み立てや塗装の手順が異なるため、そう感じることが多いのだと思います。もちろんキットにもよりますが、組み立ては基本的には飛行機モデルとそう変わらないと言っていいでしょう。

現在、ニューキットはほぼ海外メーカー製となりますが、ヘリコプターは個性的なスタイルも多いし、スケールモデル的には魅力的なアイテムだと思います。スケールも1/144から1/72、1/48と揃っています。近年ではAFVモデルとスケールを合わせた
1/35サイズのヘリモデルが数多く発売されており、フィギュアと組み合わせる面白さもあります。

▲以前製作したキティホーク社製「1/35 SH-60S」。今回製作する1/48と比べるとひと回り以上大きいキット。2007年の仕様なので垂直安定板にはウォーローズのエンブレムが描かれており、水平安定板には歌舞伎の「くまどり」をイメージした目が描かれている。どちらにしてもいかにも日本に拠点を置く部隊らしいマーキングだ

 

■コクピットを製作

キットはイタリアの模型メーカー、イタレリ製で、そこそこ古参キットなのですが、凸モールドで再現されたリベットなど機体のディテールは悪くありません。ヘリはコクピットやキャビンのウインドパーツが大きく(模型的にはカーモデルに近いイメージ)、内部が良く見える(ある意味よく見え過ぎちゃう)のがポイントなんですが、計器盤などディテールに密度感が欲しい部分でもあります。

今回制作するキットのコクピットは、エッチングパーツが追加されたことで精密感がアップしています。作例のコクピットと後部キャビン(ソノブイの投射装置やオペレーターコンソールが再現されている)は、キットをほぼストレートに製作。唯一、キャビンのシートのシートベルトをマスキングテープで自作追加しています。工作には手がかからない分、塗装には気を使っています。

▲ヘリは戦闘機のように超音速で飛ぶワケではないので、機体表面は凸リベットがバンバン打たれている

▲キットは凸モールドでリベットを再現

▲エッチングパーツは塗装の前にプライマーを使って下地塗装が必要だ。今回は塗膜の強いフィニッシャーズのマルチプライマーを使用

▲キットに追加されているキャノピーとホイール塗分け用のマスクシート

▲クリアーパーツの面積が広いヘリではありがたい

▲エッチングパーツで再現されるコクピットの計器盤。塗装後にデカールを貼ることでメータ類がリアルに再現される

▲コクピットと後部キャビンのパーツをフロアに仮組みした状態。キャビン奥(画像左側)に見える箱状のパーツは潜水艦探知に使用するソノブイ投射機、その手前にはオペレーター席も再現されている

▲実機キャビン内部に搭載されているソノブイ投射装置。対潜水艦任務では欠かせない装備だ

▲コクピットとキャビンのパーツに塗装して仕上げた状態。計器盤はデカールで再現される。各シートのシートベルトはマスキングテープをカットしたもので自作した

▲塗装が完了したフロアを胴体に組み込む。右上のパーツはキャビンの天井だ

▲コクピットは左側ドアが、キャビンは右側のスライドドアが開状態となるので、胴体に組み込んだ後も内部は良く見える

*  *  *

というわけで、2023年の第1弾はヘリコプターをチョイス。日本に駐留するHSL-51 “ウォーローズ”のCAG機を製作していきます。魅力はなといっても、模型映えする派手なマーキングです。

次回はヘリの特徴とも言えるローターなど機体の製作を進めていきます! お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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