■スマートウォッチ市場におけるApple Watchの立ち位置
2023年現在、市場には数多くのメーカーがスマートウォッチを展開しています。そんな中でもApple Watchは人気の選択肢です。
ICT市場調査コンサルティングのMM総研が22年9月に公開した情報によれば、2021年度における日本国内のスマートウォッチ販売台数は343.2万台。そのうち、メーカー別シェアではAppleが61.6%でトップでした。
■Apple WatchはwatchOSで動いている
文字盤全体がディスプレイになっているタイプのスマートウォッチは、パソコンやスマートフォンなどと同様に、OS(オペレーションシステム)によって駆動しているのが特徴です。スマートフォンに近い構造のため、多様な機能を備える傾向もあります。
「Apple Watch(アップルウォッチ)」は、Appleが提供するwatchOS(ウォッチオーエス)というOSで動いています。そのため、iPhoneやiPad、Mac、AirPodsなど、Apple製品との相性が抜群です。一方、注意したいのは、Apple Watchは基本的にiPhoneとペアリング(=連携させること)して使うのが前提になっているということです。
つまり、OSにAndroidを採用するスマートフォンでは、基本的にApple Watchをペアリングできません。市場には、Google(グーグル)が展開する「wearOS by Google(旧Android Wear)」というOSで駆動する製品もあります。また、メーカー独自のOSを採用している製品も多数存在します。Androidユーザーの場合には、こうした製品を対応状況を確認しながら選択しましょう。
■Apple Watchを使う主なメリット
さて、Apple Watchを使うメリットを大まかに確認してみましょう。もちろんモデルによって対応機能は異なりますが、大きく5つのカテゴリについて把握しておけば、全体像を把握しやすくなります。
1)時間の確認
2)決済機能
3)Apple製品との連携
4)ヘルスケア機能
5)連絡手段
1つ目の「時間の確認」は、腕時計として考えれば当然のメリットです。しかし、Apple Watchをはじめとするスマートウォッチでは、アナログ腕時計のそれとは、意味合いが少し異なります。例えば、「カレンダー」アプリからの通知や、「時計」アプリのアラーム機能などを駆使することで、スマートに時刻を確認できます。
2つ目の「決済機能」は、Apple Pay機能による非接触決済やコード決済アプリの活用を意味します。例えば、Apple WatchにSuicaを登録しておけば、ウォッチ本体を駅の改札にかざして通過できるようになります。同様に、コンビニや自動販売機などでの非接触決済も利用できます。
3つ目の「Apple製品との連携」は、幅広い意味があります。例えば、Apple Watchを身につけておくことで、iPhoneやMacの起動時に画面ロックをスルーできる機能はとても便利です。また、iPhoneに届いた通知や着信などは、Apple Watchの画面で確認可能。iPhoneがカバンの中にあったり、離れた場所においてあるようなタイミングで役立ちます。
4つ目の「ヘルスケア機能」には、大きく3つのメリットがあります。まず、運動量を把握できることで運動習慣を維持するモチベーションアップになること。続いて、睡眠時間などのライフログを継続的に記録しやすいこと。そして、心拍の異常などが疑われるときに通知で知らせてくれることです。
5つ目は「連絡手段」になることです。例えば、「トランシーバー」アプリを使えば、Apple Watchから家族や友人にボイスメッセージを送信できます。単体通話が可能なモデルならば、iPhoneが手元にない状態でも通話を実行できます。同様に、テキストメッセージの返信なども可能です。
ちなみに、あえてデメリットを挙げておくならば、充電管理が必要になることは理解しておきましょう。モデルや運用方法によっても差はありますが、1〜2日ごとの充電は欠かせません。
■Apple Watchのラインナップ
Apple Watchの初代モデルが発売されたのは2015年のこと。既に7年以上展開されており、毎年改良を施した新モデルが投入されてきました。
2023年1月現在のラインナップとしては、以下の3モデルが展開されています。
・Apple Watch Ultra
・Apple Watch Series 8
・Apple Watch SE(第2世代)
まず、「Apple Watch Ultra」は、22年に発売されたシリーズ初のアウトドア志向モデルです。ケース素材にはチタニウムを採用しており、ショートカット機能を割り当てられる「アクションボタン」も備わっています。ディスプレイのエッジが尖っているなど、独特のデザインが採用されていることや、バッテリー持ちが長いことなどがポイントです。ほかにもさまざまな独自機能があります。例えば、通常モデルと比べて動作可能温度が広く設定されており、氷点下でも安定した挙動が期待できます。
価格は12万4800円でシリーズ内では高額です。登山やウィンタースポーツ、ダイビングなど、アウトドアシーンの需要がある人はチェックしてみましょう。
一方、長時間のアウトドアスポーツなどを想定しないならば、スタンダードモデルの「Apple Watch Sreries 8」がおすすめ。Ultraが発売されるまではシリーズ最上位モデルのラインだったということもあり、バッテリー持ちの長さやアクションボタンの有無、動作可能温度など、Ultraと比べれば若干違いはあるものの、基本的に最新機能はひと通り搭載しています。
価格は5万9800円〜で、モデルによってはApple Watch Ultraの半額で入手できます。ケース素材はアルミニウムとステンレススチールの2種類。Apple Watchが欲しいという場合には、まずこのSeries 8を検討すべきです。
なお、ブランドコラボモデルとして「Nikeモデル」と「Hermèsモデル」も展開されています。
「Apple Watch SE(第2世代)」はより安く入手できる廉価モデルで、注意したい機能差がいくつかあります。例えばSEでは「常時表示ディスプレイ」機能に非対応なので、文字盤を常に表示することはできません。また「皮膚温測定」機能を備えていないため、女性の周期的な体調変化を記録する機能は利用できません。
価格は3万7800円〜。ケース素材はアルミニウムのみ。常時表示ディスプレイや皮膚温測定などに拘らない場合には、安価な選択肢として注目です。
■GPS+Cellularモデル
Apple Watchは、上述したモデルの違いによらず、「GPSモデル」
Apple Watchでモバイル通信を利用するには、対応の通信キャリアで専用の通信プランを契約する必要があります。たとえば、auの「ナンバーシェア」プラン(月額385円)を契約すれば、iPhoneで使っているのと同じ電話番号を使ってApple Watch単体での通信が可能になります。
格安の通信プランを提供するMVNOや、大手キャリアのサブブランドなどでは、Apple Watch向けの通信プランを利用できないことも多いので、購入検討時にはこうした事情もチェックしておきましょう。
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ちなみに、Apple Watchには、対応のバンドが多数用意されています。購入時にケースとバンドの組み合わせを選択できるので、好みの組み合わせをチェックしましょう。公式サイトでは「Apple Watch Studio」という名称で、組み合わせをチェックできるページが用意されており、購入検討時に役立ちますよ。
<文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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