■脚を収納して飛行状態を再現
飛行機プラモはほとんどの場合、脚を降ろした状態でモデル化されています。一部には「脚が可動で飛行状態も再現できます」といったモデルもありますが、最近ではほとんど見られなくなりました。
「飛行機は飛んでいる姿がカッコ良い」ということで飛行状態を製作するとなると、主脚は収納した状態にしなくちゃいけません。しかし、キットは収納状態用のパーツ構成にはなっていないので、自作しなければいけません。
そこで今回は、収納庫の内側をプラ板で裏打ちしておき、脚カバーを加工接着して収納状態を再現しています。「脚柱やタイヤは使用せず」とは言うものの、脚カバーは収納庫にピタリと合うわけもなく、パテでの修正が必須作業になります。
また胴体はスタンドで固定することになるので、主翼下面の内側にスタンド取り付用のプラ材を貼り込んでおきます。
■モールドの彫り直し
機体は次回の塗装(エアレーサーなのでピカピカのグロス塗装で仕上げる予定)に備えて、サーフェイサーによる下地塗装をしておきますが、パネルラインの凹モールドが細く繊細過ぎて、サンディング作業とサフ塗装で埋まってしまったため、ファンテック製のスジ堀りカーバイト(0.5ミリ)を使いパネルラインを堀り直しています。
■パイロットを乗せる
機体は飛行状態にしたので、当然ながらパイロットを乗せなくちゃいけませんが、残念ながらキットにはフィギュアが付属していません。そこで手持ちのパイロットフィギュアの中から使えそうなものをトレードしてきました。
ちなみに飛行機モデラーは、フィギュアを乗せる派と乗せない派がおりまして、達人は本来乗せない派(コクピットのディテールが見えなくってしまうのが嫌)なんですが、今回は飛行状態で製作しているので乗せた次第です。あとフィギュアの塗装が苦手という飛行機モデラーも多いようです。
さて1/48スケールのパイロットをトレードしてきたのは良いのですが、ブガッティ100Pのコクピットが狭い! エアレーサーだからなんだろうけれど、それにしても狭い! いちばん小柄なパイロットフィギュアでも全然収まりません。仕方ないので体の裏側をガリガリと削り、さらに脚は膝から先をカット(計器盤の下に収まるので足先は見えません)。さらに不自然にならないように首の角度を修正して、何とかコクピットに収めることができました。
100Pはキャノピーが大きくコクピット内が良く見えるので、丁重に塗装して仕上げなくてはいけないのですが。当時のエアレーサーパイロットの飛行服の資料がなくて悩んでおります。
というワケで今回はここまで。次回はいよいよ機体の塗装(ブガッティブルー)と、エアレースのパイロンをイメージしたジオラマのベースを製作していきます! お楽しみに!
■エアレーサーは個性的な機体が多い?
ブガッティ100Pは、1938年エアレース「ドイチュ・デ・ラ・ムルト・カップ」を目指して作られた機体というのは前回解説したとおり。参加申し込みの期限までに機体が完成せず、レース参加は果たせませんでした。
当時はエアレースが世界各地で開催されており、ブガッティ100Pのデザインも斬新かつ野心的なデザインのエアレーサーではありますが、個性的なエアレース専用機も数多く作られています。
そうした中にあっても、一度見たら忘れられない強烈なインパクトがある機体といえば、トンプソントロフィーに参加するために作られたGBレーサーでしょう。
マサチューセッツ州スプリングフィールドの小さな航空機会社グランビル・ブラザーズによって作られたこの機体は、当時大出力だった535馬力のR-985ワスプ・ジュニア空冷星形9気筒エンジンに、ギリギリまで小型化した翼、太く短い胴体。そこに、首しか外に出ない極小の操縦席もつけました的な強烈なデザイン。本当にコレで飛ぶの? と思っちゃいますが、1931年のトンプソントロフィーで優勝を果たし、同じ年に430.245km/hという陸上機の速度記録も樹立しています。
GBレーサーは改良されながら多くのレースで優勝し、数々の記録も樹立していますが、非常に操縦が難しく「操縦は指の上で鉛筆を立て続ける感覚が必要」とまで言われ、作られ機体の大半が事故で失われています。
以前アメリカのリノエアレースで実機(レプリカ)が飛んでいるのを見たことがありますが、見た目とは裏腹に軽快にバレルロールや背面飛行をこなしていました。
GBエアレーサーは逸話が多い機体ということもあって、プラモデルも数多く発売されています。機会があれば達人のプラモ術で紹介したいですね。
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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