各モデルの解説は、マックス株式会社 オフィスプロダクツ営業部の山本恭隆さんにお願いしました。
1952年「SYC・10」
国産初のハンディタイプ。「SYC・10」の “10” は10号針の意味で、“SYC”は文具メーカーのスマートの「S」、山田興業(マックスの前身)の「Y」、千代田文具(現プラス)の「C」の頭文字を意味する。この3社共同で開発された。大卒の初任給が1万円にも満たなかった時代に、定価200円と高級品だった。「部品数をわずか8点に減らし、持ち運びできるサイズに収めたことが画期的でした」(山本さん)
1954年「MAX・10」
ホッチキスの代名詞となるほどの大ヒット商品で、幾度もの改良を重ねて長きにわたり販売された。30代以上の人なら馴染みある商品。「ボディ全体が金属むきだしだったSYC・10に対し、綴じる際に一番力の加わる先端部分に樹脂製のヘッドを装着して使いやすくなりました」(山本さん)
1978年「ホッチー」
指の安定を良くするため、プラスチックのカバーを装着。第二次ベビーブームで生まれた子供たちを中心にヒットした。「てこの原理を応用した『軽とじ機構』を搭載し、従来の半分の力で綴じられるようになり、力の弱い子供も使えるようになりました」(山本さん)
1987年「HD-10F」
綴じ裏が平らになるマックス独自の「フラットクリンチ機構」を世界で初めて搭載。「従来の綴じ裏が盛り上がる『メガネクリンチ』は、何部も重ねると山になり崩れてしまうため、オフィスでは金槌で潰していたとか…。そんな手間を省きました」(山本さん)
2002年「パワーフラット」
「軽とじ機構」と「フラットクリンチ機構」の両方を搭載。また、これまでは綴じられる枚数は20枚までだった業界の定説を打ち破り、26枚にアップ。「ハンディホッチキス発売50周年を記念するモデルで、当時の技術の粋を集めた力作です」(山本さん)
2008年「Vaimo11 FLAT」
ハンディタイプで驚異の40枚まで軽い力で綴じられる画期的モデル。専用に開発した11号針は、10号針と同じ太さで抜きやすい。「これ以前の歴代モデルを開発してきた技術者が、引退前に手がけた集大成です!」(山本さん)
2013年「サクリフラット」
軽い力で平らに綴じられるサクリフラットシリーズの進化形。「ハンドル部分に予備針を100本収納できる便利な『予備針ポケット』を設けたほか、10号針で28枚まで綴じられるようになりました」(山本さん)
2013年「P-KISS15」
紙の針を使った、15枚まで綴じられるホッチキス。1990年代に食品業界から金属針に代わるホッチキスの要望があり、7年の開発期間を経て誕生。「紙でできた針でも、しっかり保持します。捨てるときは針を分別しなくていいので手間もかかりません」(山本さん)
2016年「Vaimo11 POLYGO」
40枚まで綴じられるバイモ11シリーズの進化版。すべて新設計でダイヤモンドをイメージしたエッジの効いたデザインが特徴。「『もう少し小さいバイモが欲しい』との声に応えました。バイモ11フラットよりも小型で、女性の手に収まりやすいんですよ」(山本さん)
2016年「サクリフラット」
10号針でのハイスペックモデル。「針足を曲げる機構を見直して、最大綴じ枚数を32枚まで増やしました。また、予備針ポケットのカバーを透明にして針の有無を見やすく改良しています」(山本さん)
使ったこと、見たことのあるホッチキスはありましたか。半世紀以上、基本形状は変わらないのに、押しやすさなど改良が続けられてきたことが分かります。
ホッチキスなんてどれも同じと思っていると大間違い。最新のモノを一度使ってみてください。あまりの軽さに驚きますよ。
マックス >> http://www.max-ltd.co.jp/
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(文・写真/山口清憲)
1978年生まれ。大学工学部卒業後、自動車専門誌の編集部勤務を経て2010年に独立。主に乗りものやメカニズム系のジャンルを得意としている
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