ポルコの愛機「サボイアS.21F」を光沢レッドで塗装【達人のプラモ術<アジトのポルコ>】

■紅の豚なんだから赤にはこだわりたい!

サボイアS.21Fは真っ赤に塗られています。これはイタリアのインターカラーだったということもあり、シュナイダートロフィーに参加したイタリア艇もすべて赤で塗られていました。以前本コーナーで制作した双胴飛行艇サボイア・マルケッティS.55も赤でした。

キットではMr.カラーのモンザレッドが指定されています。イタリアンレッドではないのかなとも思いますが、真っ赤!という点では確かにモンザレッドだと思います(ポルコのライバルカーチスの言葉をかりれば軽薄な赤)。作例は、個人的な好みでタミヤラッカーのピュアーレッドを塗装しています。このあたりは自分の思うイメージの赤で塗ればいいと思います。

そして赤をより鮮やかに発色させるため、下地はピンクサ―フェイサーで塗装しておくのがお約束です。

ところで劇中のサボイアS.21Fの赤はツヤがあったのか…はたまたツヤがない塗装なのか…模型的に悩みどころではあるのですが、ポルコが「あと15ノット(約25Km/h)は欲しい」と最高速にこだわっているので、塗装は空気抵抗の少ない光沢塗装であったと解釈して、機体は光沢塗装仕上げとしています。劇中ではピッコロ社の工房でばーちゃんがスプレーガンで機体の外板を赤く塗っていましたね。

また垂直尾翼と主翼下面にはイタリアの国旗の緑・白・赤の三色旗(Tricolore italiano)が描かれており、キットはデカールが付属していますが、デカールは垂直尾翼の前縁などの処理が難しいので、作例は塗装で塗分けて再現しています。

▲機体色となる赤塗装の発色を良くするための下地としてピンクサーフェイサーを塗装しておく

▲タミヤ「ファインサーフェイサーL (ピンク)」(880円)

▲機体色の赤で塗装するパーツは、まとめてピンクサーフェイサーで塗装

▲今回、機体の赤はタミヤラッカーのピュアーレッドを使用した。エアブラシで光沢仕上げとして塗装

▲ピュアーレッドで塗装した機体パーツ。光沢塗装は晴れて湿度の低い日を選びたい。ラッカー塗料での塗装の場合、湿度が高いとキレイな光沢が得られないことがあるので要注意

▲キットは主翼下面と垂直尾翼のトリコロールは付属デカールで再現できるが、作例では塗装で再現

▲塗装で仕上げたトリコロール

 

■次回完成!

機体塗装をしっかりと乾燥させたら、機体を組んでいきます。パーツの精度が高く、艇体の上に左右一体型主翼が取り付けられたパラソル翼のS.21Fはエンジンが主翼上に配されているため、艇体、主翼、尾翼、エンジンをそれぞれで塗装できるため、一般的な飛行機模型と比べて組みやすく、面倒なマスキングなども最低限で済ませられます。飛行艇なので完成後に破損させやすい脚もないですしね。

ということで今回はここまで。次回は機体を完成させて今回の主役「アジトのポルコ」のヴィネットと組み合わせて完成を目指します。お楽しみに!

▲前回製作した機体内部と今回製作した艇体(胴体)

▲鮮やかなピュアレッドが目に映える主翼とエンジンを仮り組み。特徴的なパラソル翼に搭載されたエンジンなどサボイアS.21Fのフォルムが忠実に再現されている

▲あとは主翼端のフロートとキャノピーなどを取り付ければ機体は完成だ

 

■参考にしたであろう機体、マッキM.33

こちらの写真は劇中に登場するサボイアS.21FのデザインベースになったマッキM.33。改修される前のサボイアS.21Fに搭載されていたエンジン、ラジエイターの配置からもこの機体を参考にしているようです。

このマッキM.33は1925年のシュナイダーカップでは3位に入賞した機体ですが、すでに時代遅れになっていたエンジンのトラブルに悩まされたようです。ちなみにこの年のレースで優勝したのはカーチスR3C-2ですから、映画『紅の豚』はこうした現実のシュナイダーカップの史実をうまく取り込んだストーリーのバックグランドになっていて、それがリアリティと大きな魅力になっているんだなぁと改めて痛感させられます。

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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