2. 心房細動の有無をチェックできる
「Apple Watch Series 4」以降のモデルなら、心電図(ECG)をとることもできます。これによって心拍リズムを確認し、不整脈の一種である「心房細動 (AFib)」の可能性があるかどうかをチェックできます。ただし、条件によっては判定不能とされることもあるので、留意しておきましょう。
心電図を測るには、「心電図」アプリを使います。測定中には、ウォッチを装着していない側の指先で、Digital Crownを抑える姿勢をキープします。そのほかの測定方法についても、アプリの画面指示に従えば問題なく理解できるでしょう。
一点覚えておきたいのは、血栓や脳卒中、一部の種類の不整脈などに関しては、心電図アプリでは判断できないものがあるということ。胸周りに違和感や痛みがある場合には、Apple Watchを過信せず、緊急通報サービスを利用する、すぐ病院へ行くなどしましょう。
3. 「血中酸素ウェルネス」を確認できる
血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの何%が酸素と結びついているかという数値を、「SpOs(酸素飽和度)」と呼びます。一般的には、パルスオキシメータという機器を指先に挟んで測定することが多い数値で、医療や介護の現場では、呼吸不全の判断などに使われます。SpO2は通常96〜99%であり、90%未満になると呼吸不全の状態だとされます。
「Apple Watch Series 6」以降では、赤色と緑色のLEDと、赤外線LEDが手首を照射し、その反射光の量をフォトダイオードが読み取ることで、このSpO2に近い値を「血中酸素ウェルネス」として計測できるようになっています。医療機器ではないため、Appleのヘルプページでは、“血中酸素ウェルネス App による測定は医療目的ではなく、あくまで一般的なフィットネスとウェルネスを目的としたものです。”と記載されています(出典:Apple https://support.apple.com/ja-jp/HT211027)。
ここでいう「ウェルネス(wellness)」とは、「健康」をより広義に捉えた言葉です。「カラダや心を、健やかに保つための意識づけ・習慣づくり」といったイメージでしょうか。
Apple Watchでは、血中酸素ウェルネスの測定をバックグラウンドでも行なえます。年齢や健康状態によっては、あまり意識したことがない指標だと思いますが、もし数値に異常がみられた際などには、異変の可能性を疑ってみるといいかもしれません。
4. 睡眠ステージの変化をチェック
Apple Watchを装着して就寝すると、睡眠中における「レム睡眠」「コア睡眠」「深い睡眠」のそれぞれの睡眠ステージの変化や、目が覚めた時刻を推定できます。iPhoneだけでも睡眠の記録ができないわけではありませんが、Apple Watchがあることで、より正確な測定ができるわけです。
睡眠の履歴は、Apple Watchで確認することもできます。ただし、画面が小さいので、ほかの指標と同じくiPhoneの「ヘルスケア」アプリから確認するのがおすすめです。
なお、Apple Watchのバッテリーが30%未満の場合には、就寝前に充電をするように促す通知が表示されます。
5. 皮膚温を使って、女性の周期予測を正確に
睡眠に関連したところでは、Apple Watch Series 8/Ultra以降が、「皮膚温」の計測もできるようになっていることもポイントです。
実は、体温の測定のなかでも、皮膚表面の温度というのは、環境による変化が大きく、扱いが難しい指標です。例えば、就寝時に手が布団の中にあったのかどうか、季節がいつか、気温がどのくらいか、などの影響を受けて簡単に変わってしまいます。Apple Watchでは、ディスプレイ側に配置した温度センサーによって取得した環境温度を使い、数値を補正することで「皮膚温」を意味のある指標に整えているといいます。
同機能を使う条件としては、
(1)「睡眠」を設定し、「Apple Watch で睡眠時間を記録」を有効にしておく
(2)約5日間、毎晩4時間以上は「睡眠」の集中モードを有効にしておく
のふたつが必要です。
なお、この皮膚温の変動が特に役立つのは、女性が「周期記録」を記録している場合です。周期予測の精度が上がり、過去に遡った排卵日の推定にも役立てられます。
6. 「耳に悪い騒音」に気づかせてくれる
Apple Watchでは、「耳」の健康についても、配慮できる機能が備わっています。「ノイズ」アプリを使用することで、周囲の音のレベルを測定し、ユーザーの聴覚に影響を及ぼす恐れがあるレベルの大きな騒音を検知した場合は、通知で知らせてくれます。
こうした騒音の値は「デシベル(dB)」という単位で表されます。大まかな基準では、通常の会話が60dB程度、電車内が80dB程度といったイメージです。80dBを上回る騒音が長時間続くと、聴覚に影響するとされており、「ノイズ」アプリ内で、「ノイズのしきい値」をユーザーが選択し、どのくらいの騒音を超えたら通知が届くか設定できるようになっています。
なお、音量のチェックは、Apple Watchを装着している間は、定期的に測定されており、3分間の騒音レベルの平均値が、選択されているしきい値に到達するか、その値を上回ると、通知される仕組みです。この際、Apple Watchのマイクが使われますが、音声の録音や保存はされていません。
* * *
「アクティビティ」や「ワークアウト」アプリを使った運動習慣のモチベーションアップだけでなく、自身の健康の指標になるライフログを取りやすいこともApple Watchの魅力です。Apple Watchを手にした際には、今回概要を紹介した6つの測定項目について、改めて深掘りしてみてください。
<文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X
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