■知っておきたいデカール貼りの基本
①水に浸けたままにしない
デカールは水溶性の糊が使われており、水に浸けることで台紙上で糊が溶けて、台紙からデカールフィルムを剥がして使用できるようになります。デカールを水に浸ける時間は30秒前後でOKです(古いデカールだと、台紙に水が浸透しにくいため、1分以上水に漬けておく場合もある)。
ちなみに水に漬けたデカールは、台紙から浮き上がってくるまで水に浸けておくのはNGです。先にも書いたようにデカールには水溶性の糊が使われています。水に漬けたままにしてしまうと、デカールフィルム面の糊が水に溶け出してしまうため、乾燥後に剥がれてしまうトラブルの原因になってしまいます。
②指で貼るのはNG! 貼る面には水を塗っておく
デカールフィルムは薄く繊細なので、取り扱いは注意が必要です。貼る際に指でデカールに調節触るのはNG。指に付いてしまう、折れ曲がる、破れるといったトラブルの原因になります。基本は、デカール専用のピンセットを使うようにします。
またデカールは、貼った後に位置を微調整するのですが、糊が強いデカールは、水分抜けてしまうと位置修正ができなくなってしまう場合があります。無理に動かそうとすると破けてしまうので、必ず水をたっぷり含ませるのがポイントです(貼って完全に乾燥定着したデカール位置修正は基本不可)。
③デカールがスライドマークと呼ばれる理由
水転写デカールは別名スライドマークとも呼ばれています。水に浸けたデカールの糊が溶けて台紙上でデカールが動くようになったら、台紙ごと貼る部位に持っていき、台紙をゆっくりと引き抜く(スライドさせる)ことで、デカールが丸まる、折れ曲がる、切れてしまうといったトラブル防げます。また気泡が貼る面との間に入ることも減らせます。大判デカールや細いストライプデカールを貼る際に有効です。
また小さなコーションマーク(注意書き)や細いストライプなどは、台紙から持ちあげた際に、デカールが丸まったり、ねじれてしまうことがよくあります。この際にピンセットなどで無理に元に戻そうとすると、大抵の場合、破れて泣くことになります。丸まったり二つ折りになってしまったデカールは、そのまま水に漬けてやれば、水中で広がって元に戻ります。ただし広がったデカールをピンセットでそのまま持ち上げると再び丸まってしまい元の木阿弥なので、ここは慌てず水中で使用済みのデカール台紙の上に載せてやります。こうすることでデカールが丸まるのを防げます。
④軟化剤には気を付けたい
デカール貼りをサポートしてくれるマークセッターやマークソフター(Mr.ホビー)、マークフィッター(タミヤ)といったデカール軟化剤は、上手く使いこなせば、ありがたい味方になってくれます。しかしこうした軟化剤はデカールとの相性があるので、使用に際しては事前に不要デカールでテストしてから使うことをオススメします。
強い軟化剤を使用した場合、デカールが溶けてしまう、あるいはデカール表面にシワが寄るといったトラブルが起きる場合があるので注意が必要です。
今回の作例ではMr.ホビーのマークセッターを使用していますが、デカールとの相性が良く、曲面にデカールを馴染ませるのに効果を発揮してくれました。
■乾燥時間は最低でも24時間必要
デカールを貼り終えたら。クリアー塗装のためにしっかりと乾燥時間を取る必要があります。
小サイズなら乾燥も早いのですが、大サイズとなるとなかなか水分が抜けてくれません。デカール内側に水分を残したままクリアーでのオーバーコート塗装をしてしまうと、蒸発できなくなってしまった水分がクリアー層の下で気化、膨張してしまうためデカールの表面に気泡ができたり、あるいはシワの原因になったりしてしまいます。
乾燥機に入れることができれば乾燥も早いのですが、ベルーガは胴体が30センチを超えるため、乾燥器に入れることができず、常温で48時間乾燥させています。
■機体番号は2号機をチョイス!
現在5機が就役しているベルーガで、作例は2号機(MSN751 F-GSTB)をチョイス。カーゴハッチ全面と左右の補助垂直尾翼に「2」の機体番号デカールを貼りました。
なんで2号機?と聞かれれば、そりゃアナタ巨大な胴体を持つ汎用性の高い元祖輸送機といえば…思い浮かぶのはサンダーバード2号ですよね! というワケでTB-2号に敬意を表して、機体番号を2にした次第であります。実際このキットを緑に塗装してTB-2のイメージに仕上げたベルーガを製作した強者モデラーもいるようです。
■クリアー塗装は缶スプレーで
デカールが乾燥したら、クリアーでオーバーコートをしてデカールの保護と機体を光沢仕上げします。今回はモデルのサイズが大きいこともあり、クリアー塗装は、効率と仕上がりのを考慮してエアブラシではなく缶スプレーを使用しました。塗装は、塗装→乾燥を3回重ねています。また今回はカーモデルのような鏡面仕上げのための砥ぎ出しはしていません。
■機体の組み立て
クリアーによるオーバーコートを24時間乾燥させたのち、胴体と主翼、尾翼とエンジン、脚といった各パーツを組み上げて機体を完成させます。
開状態にしたカーゴハッチは、キットに付属している開閉用アクチュエーター(ディテールのみ可動はしない)と組み合わせて接着固定しています。