垂直着陸×ビーストモードという“スペシャル仕様”で「F-35B」完成!【達人のプラモ術<F-35B ライトニングII>】

■機体をセミグロスクリアーでオーバーコート塗装

デカールの保護と機体塗装を整えるためのクリアーによるオーバーコート塗装は、フラットクリアー(つや消し)ではなく、やや光沢感のあるセミグロスクリアー(タミヤ「ラッカー塗料 LP-24」)で仕上げています。F-35のRAMコーティングは、見る角度や気象条件で色味や質感が変わって見えるモデラー泣かせの塗装なんですが、スケールモデル的にはセミグロスクリアー仕上げが良いでしょう。

▲タミヤ「ラッカー塗料 LP-24 セミグロスクリアー」(220円)溶剤6:セミグロスクリアー4の割合で希釈してエアブラシで機体をオーバーコート塗装している

▲セミグロスクリアーでオーバーコート塗装したことで、不自然なデカールのテカリがなくなり、塗装とのツヤが統一されて機体が締まってみえる

 

■スタンドモデルなのでパイロットを乗せる

キットには大変出来の良いパイロットフィギュアが付属しています。特徴的なHMDS(ヘッドマウントディスプレイシステム)を組み込んだヘルメットは、材質のカーボンパターンと部隊マークがデカールで再現されているのがありがたい限りです。

機体はバーチカルランディング(垂直着陸)仕様のスタンドモデルで製作しているので、基本パイロットは乗せなくてはいけません。通常はパイロットを乗せるとコクピットのディテールが見えなくなるので乗せない派なんですが、F-35はフレームのない大型キャノピーを採用しているので、コクピット内部のディテールも良く見えて出来の良いフィギュアが引き立ちます。

▲HMDS(ヘッドマウントディスプレイシステム)を組み込んだヘルメットも正確に再現されたパイロットフィギュアとシートは筆塗り塗装で仕上げている

▲シート取り付けて計器盤を組み込んだグレアシールドをコクピットに取り付ける

▲先に計器盤を取り付けてしまうとパイロットが収まらなくなるので要注意

▲大型で歪みのないキャノピーはピタリと機体に取り付けできる。接着の際には内側に指紋や汚れを着けないよう気を使いたい

 

■全部開けました、全部積みましたスペシャルモード!

さて、コクピットをはじめ、ウエポンなども仕上げたら、いよいよ最終組み立てです。機体はバーチカルランディング(垂直着陸)仕様、ビーストモードでのウエポンてんこ盛り、さらにウエポンベイ内部も全部見せますモードで製作を進めていたワケですが、なんと!ここまで来てウエポンベイの外扉は閉めると指定されていることが発覚。よくよくインストを見たら「垂直着陸時には爆弾は取り付けません」って53ページに書いてありました(驚)。

てことはビーストモードの翼下パイロンにレーザー誘導爆弾GBU-12ペイブウェイⅡも搭載できないってことなんですね。ここまで作ったのに、それはないよぉとボヤいても後の祭り、製作前にインストを斜め読みしかしないダメモデラーの末路であります。

ぶっちゃけビーストモードの駐機仕様で製作すれば、ウエポンベイが開いていても違和感はないのですが、それだと背中のリフトファンカバーや補助インテークカバーを閉じなくてはいけないし、エンジンノズルもフツーで面白くないんですね。

せっかく塗装したウエポンベイの超絶ディテールはどうしても見せたいし、ステルス性能を犠牲にしたビーストモードの翼下パイロンだってGBU-12ペイブウェイⅡ積まなきゃ意味がない。

というわけで作例は、扉は全部開けて、ウエポンも全部搭載しちゃいました。強いて言うならば、「短距離離陸モードだけどウエポンベイ全開で、でもエンジンノズル下を向いてます仕様」となりました!

実機の垂直着陸仕様で爆弾搭載はありえないのですが、スケールモデル的な見栄えを優先した、見どころ満載仕様です。

▲垂直着陸のビーストモードで製作した場合、見ての通りウエポンべイの外扉が閉状態となり、内部のディテールがほとんど見えなくなる。また主翼パイロンはいちばん外側にサイドワインダーを搭載できるが、GBU-12ペイブウェイⅡは搭載不可となる。ウエポンベイの内側扉はリフトファンからの空気の流れをコントロールするために開けた状態となるとのこと

▲指定どおりに製作した垂直着陸仕様のビーストモード。これはこれでカッコ良いのだが、ウエポンベイを作り込んだ身としてはちょっと寂しい

▲インストの指示のとおりに製作すると、ウエポンベイ内部ディテールもほとんども見えなくなり、翼下にはAIM-9サイドワインダー以外のウエポンも搭載できない。それではつまらないので作例はスケールモデルとしての見栄え優先で『全部開けました、全部積みましたスペシャルモード』で製作。主翼パイロンにはGBU-12ペイブウェイⅡを4発、ウエポンベイにはAIM-120Cアムラームに加えGBU-32JDAMを2発搭載したフル搭載状態としてみた

▲キット付属のGBU-12ペイブウェイⅡとGBU-32JDAM

 

■垂直着陸が可能なら垂直離陸はできるのか?

ところでF-35Bは垂直着陸が可能なんだから、VTOL戦闘機の先輩ホーカーシドレー・ハリアーのように垂直離陸もできるんじゃないのかと考えますよね。そこんところ調べてみたらF-35Bは垂直離陸推力が約19トンあるのですが、燃料満載時の機体重量は約21トン、これに武装が約6.5トン加わるので、つまるところ燃料を満タンの無武装状態でもリフトシステムの推力以上の重量があるため、垂直離陸はできないんですね。燃料と武装も減らしてならば可能でしょうが、実際の作戦運用では基本垂直離陸は想定されていないようです

 

【次ページ】機体裏側も見えるようにしたいならミラーを使おう

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