ヤスリ掛けなどで消えてしまった凸モールドをモデラーズナイフで再生!【達人のプラモ術<震電>】

■モデラーズナイフがあればOK

作業は、消えてしまった凸モールドに合わせてガイドテープを貼り、モデラーズナイフの刃でモールドを彫り描いていきます。えっ? それじゃあ凹モールドになってしまうんじゃないの? と思われるかもしれませんが、いやいやご心配なく、これで大丈夫なので焦らずに作業を進めましょう。

モデラーズナイフでパーツの表面を切り込むと、当然ながら凹線となるのですが、刃で切り込んだことにより、切り込んだ個所の左右のプラが僅かに盛り上がります。この部分を凸線として利用するわけです。0.1~0.3ミリ程度の凸線ならば問題なく再生可能です。

▲凸モールドと凹モールドの概略図。飛行機モデルに関して言えば80年代ごろまでは凸モールドでパネルラインを再現したキットも多かったが、近年のキットでは凹モールドが当たり前になり、凸モールドによるパネルラインの表現はリベット等の再現を除き、ほとんど見られなくなった

▲モデラーズナイフの刃を押し付けるようにパーツ表面に切り込みを入れていくことで、刃で押し広げられた部位の左右が盛り上がる。この部分を凸モールドとして利用する

盛り上がる線の太さは切り込みを入れる際の力の入れ方で変わるので、事前にプラ板などで感覚を掴んでから本番に臨んだ方が良いでしょう。本来の凸モールドと線の太さが同じになるように力の入れ加減を調整するのがポイントです。

またフリーハンドだと切り込む際に線がずれやすいので(特に曲線部分)、必ずガイドテープを使用してください。万が一、線がずれてしまった場合は、高切削性の瞬間接着剤で埋め戻して研磨すれ、改めて切込みを入れられます。1/72、1/48スケールの凸モールドであれば、ほとんどこの方法で再生可能です。

▲タミヤ「モデラーズナイフ」(1210円) 細かな部品のパーティングラインの仕上げや、刃を立てて削る作業でも刃こぼれしにくい。パテ盛り後の成形などにも最適なナイフです。替刃は25枚セット。使用済の刃を入れるケース、キャップ付き

▲モデラーズナイフの刃は新品を使用すること

▲残っているパネルラインに合わせて消えてしまった部分にガイドテープを貼る

▲ガイドテープに沿ってナイフの刃を押し付ける感じで切り込み線を入れていく

▲ハイキューパーツ「スジボリ用ガイドテープ ハード6mm(2個入)」(440円) 本来はラベルライター用のプラスチックテープだが、スジボリ用ガイドテープとして発売されている。硬質PVC素材に強粘着タック加工されたテープ。厚みがあるのでナイフの刃がそれにくい

▲粘着力あるテープなので曲線部分でもしっかりと貼り付いてくれる。ただし一度剥がすと粘着力が落ちるので再利用は不可

▲モデラーズナイフ1本で凸モールドの再生が完了した震電

▲機体底部の凸モールドも再生完了

 

■薄めた溶きパテで凸線を整える

モデラーズナイフで切り込むことで生じた凸線はそのままでもいいのですが、刃を切り込むと切り口の左右が盛り上がるプラの特性を利用しているので、再生した凸線の中央には切り込み線が凹ラインとして残っています。0.2ミリ以上あると再生した凸ラインが不自然に見える事もあるので、ひと手間加えましょう。

ビン入りサーフェイサー(溶きパテ)を溶剤で2倍程度希釈して、エアブラシで、再生した凸モールド部分に厚塗りにならないように軽く注意しながら塗布します。これにより、切り込んだ際に生じた凹線部分が溶きパテで埋まるので、中央部分にへこんで見える不自然さがなくなります。

▲ナイフで切り込んだ際に生じた切り込み線が不自然に見えないよう、2倍前後に希釈した溶きパテをエアブラシで塗布することで埋め戻す

▲切り込んだ際に生じた凹部分(イラストの赤部分)に溶きパテを流し込むことで中央部がへこんだ不自然さを解消する

 

【次ページ】暗緑色と明灰色で機体を塗装

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