「グラベル」とは砂利道などの未舗装路を意味し、「グラベルロード」とは、そうした未舗装路も走れるロードバイクのこと。
北米では近年、未舗装路が増えているそうで、長距離ツーリングをする人たちは必然的にそうした道を走る機会が増える。そして、そういう道をあえてロードバイクで走るスタイルも盛り上がってきたため、メーカーも未舗装路も走れるロードバイクを用意するようになってきたのです。
「未舗装路なんて走らないよ」と思っている人も多いと思います。確かに日本には未舗装路はあまりありませんし、無理のないことです。ただ、そういう人にも、あえてグラベルロードをオススメしたい。それには、ちゃんと理由があります。
【理由その1】太めのタイヤで段差も気にならず、乗り心地が良い
グラベルロードの大きな特徴のひとつが、通常のロードバイクより太めの32~40Cくらいのタイヤを履いていること。
凹凸の多い砂利道を走るには、これくらいの太さで振動を吸収してやる必要があるためですが、この太さが街乗りや通勤では快適なのです。
街中を走ると、路面の段差や荒れた部分が意外と多い。そんなところをロードバイクの細いタイヤ(23~28Cくらいのものが多い)で走ると、ハンドルを取られやすく、パンクもしやすい。
ロードバイクの細いタイヤで段差を乗り越えようとして、怖い思いをしたことのある人も多いと思いますが(筆者も経験があります……)、グラベルロードの太いタイヤだと、そういう段差も気にせず走れます。
また、振動の吸収性も高いので長距離ツーリングでの疲れも少なくて済みます。
「太いタイヤだと走りが重いんじゃ……?」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。確かにレース直系のモデルと比べたら重いかもしれませんが、一般の人がロードバイクに求める走りの軽さや速さは十分に持っています。
【理由その2】長距離でも快適に走れる疲れにくい設計
グラベルロードのもうひとつの特徴は、安定性を重視したフレーム設計になっていること。
砂利道を走るのに、不安定では乗りにくいですから、チェーンステイのやや長いフレームとなっていることが多い。これは、長距離をツーリングしたい人にとっても疲れにくい設計だということです。もちろん、レース向けのモデルでも長距離を走ることはできますが、ツーリングの後半や走り終わった後の疲れ方は全然違うはずです。そして、その差は初心者ほど大きく効いてくるものなのです。
また、ポジションも通常のロードバイクに比べるとハンドルが高く、ハンドル幅も広く設計されています。砂利道などでのコントロール性を高めるためですが、初心者にとっても、そのほうが乗りやすいですよね。
【理由その3】雨の通勤でも安心感の高いブレーキ
グラベルロードに分類されるモデルの多くには、ディスクブレーキが装備されています。
「スピード出さないから、そんな大げさなブレーキはいらない」と思う人もいるかもしれませんが、ディスクブレーキの一番のメリットは、雨でも効きがほとんど変わらないこと。そう、街乗りや通勤で雨でも乗る人たちこそ、最もメリットを感じられるブレーキなのです。
最近では、ディスクブレーキを搭載したレース向けのロードバイクもありますが、前述の2つの理由から、グラベルロードのほうが個人的にはオススメです。