曲面にデカールを貼る時の注意点と便利アイテム【達人のプラモ術<フィアット500F>】

■デカール(スライドマーク)はスライドして貼る

デカールは、水転写シール、あるいはスライドマークとも呼ばれます。水に漬けることで台紙上の水溶性の糊が溶けて、薄いフィルムのマークとなります。

デカールの質にもよりますが、サイズが大きいものだと、台紙から剥がして持ち上げると丸まったり、糊の面同士が貼りついてしまう、といったトラブルに泣かされることも。こうしたトラブルを防ぐには、台紙のままデカールを貼る位置まで持っていき、台紙上からパーツの表面にデカールをスライドさせるようにします。

万が一デカールが丸まったり、糊の面がくっついてしまったら、慌てず騒がずピンセットなどで無理に広げようとせず、水の中に漬けておいてください。しばらくすると水中花よろしくデカールが開いてきます。そこで水の中から持ち上げてしまうと、また丸まってしまうので、水の中で台紙上に戻してやればリセットできます。

▲糊の成分が溶け出してしまうので、デカールを水に浸けたままにするのはNG。水に5~10秒浸けて、台紙に水が行き渡ったら引き揚げることで糊が溶け出してしまうことを防げる

▲水に浸した台紙の上でデカールが軽く動くようになれば準備OK。無理に動かすのは禁物。古いデカールだとデカールの糊が溶けるのに時間がかかる場合がある

▲デカールは台紙ごと貼る位置に持っていき、台紙上からパーツ上にスライドさせることでスムーズに貼れる。位置修正の際にはたっぷり水を漬けておこなうこと

 

■マークフィットを使用してデカールを密着させる

デカールがボディにしっかりと密着せず、わずかでも浮いていると、シルバリング(デカールの透明フィルム部分が白く目立つ状態)を起こしたり、またデカールを貼った後に光沢を持たせるクリアー塗装の際に、塗料がデカールの裏面に回り込んでシワができたり、最悪溶けるといったトラブルの原因になります。

そこで今回は、タミヤがリリースしているデカール軟化剤「マークフィット」を使用して、デカールをボディにしっかりと密着させています。

デカール軟化剤は、Mr.ホビー(GSIクレオス)の「マークソフター」や「マークセッター」など各メーカーが発売していますが、今回はタミヤデカールと相性が良い(※1)「マークフィット(ハードタイプ)」を使用しました。

使用方法は難しいものではなく、デカールを貼る部位に「マークフィット」を塗布すればOK。デカールの位置を決めたら、綿棒でデカールを内部の気泡を押し出しながら水分を拭き取ることで、軟化したデカールがパーツの凹凸に馴染んでくれます。

(※1)軟化剤はデカールとの相性があり、成分が強いものだとデカールを溶かしてしまうことがある。使用に際しては事前にパッチテストをすることをオススメする。特に古いデカールへの使用は要注意

▲タミヤ「マークフィット(スーパーハード)」(330円) マーク(デカール)を貼りにくい曲面や凸凹面に使用するマークフィットより効果が高いスーパーハードタイプ。曲面や凸凹面、ざらついたつや消し面にもよく密着して、乾燥後のマークの浮き上がり(シルバリング)を防ぐ。塗装を侵す場合があるので、特にアクリル塗料の上から使用する場合は注意が必要

 

■デカールの番号は曲者!

ここで注意をひとつ。デカールの台紙には番号が印刷されています。フィルムに定着はされていないので、水に浸けるとバラバラになってしまうのですが、稀にデカールの表面に残ってしまうことがあります。そのまま乾燥してしまうと剥がすことは困難になるので、デカールを切り出す時点で除けておく、あるいは水に漬けたデカール台紙上から洗い落しておくことをオススメします。

▲デカールの指定番号は水に漬けると分解されるが、トラブルの原因にもなるので、事前にカットしておくようにしたい

 

■綿棒はこするのではなく押すのがポイント

デカールの位置決めが完了したら、綿棒を使いデカール内側に残った気泡や水分を追い出していきます。今回のようにマークフィット(デカール軟化剤)を使用している場合は、綿棒は擦るのではなく上から押し付けて気泡を追い出しつつ、デカールをパーツの凹凸に密着させていくようにします。この際に綿棒は必ず湿らしておいてください。乾いた綿棒だとデカールが貼り付いてしまい、破けるといったトラブルの原因になるので要注意です。

▲綿棒を押し付けることでデカール内部の水分を追い出し、ボディに馴染ませていく

▲デカールを密着させる作業では、必ず綿棒を湿らせておくこと

 

【次ページ】クリアー塗装は吹き過ぎに注意

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