第二次大戦期に活躍したイタリア空軍の傑作戦闘機を作る!【達人のプラモ術<マッキ MC.202フォルゴーレ>】

■左右で長さの違う主翼?

MC.202の設計で面白いのが、左右で主翼の長さが違うこと(左翼が右翼に比べ20cm長い)です。これは同機以外でも戦前からイタリア機でしばしば用いられた手法で、プロペラの回転方向に生じるトルクモーメント(機体がプロペラの回転方向に傾く)を打ち消すためでした。

同様の対応策として、メッサーシュミットやアメリカのF4Uコルセアなどでは垂直尾翼が右側にオフセットされて取り付けられています。

模型的にも、機体を見ると確かに主翼の長さの違いが再現されており、面白いですね。

▲マッキ MC200 サエッタ。開放式コクピットが主流だった第一次大戦の戦闘機が持つ開放感から抜け出せなかった保守的なパイロットの「空気が感じられない、視界が悪い、狭くて息苦しい」という意見から、当初採用していた密閉式のキャノピーを、あえて空気抵抗の大きい開放式コクピットに改悪。武装も貧弱で英国空軍のハリケーンやスピットファイアには歯が立たなかった。

▲タミヤ・イタレリ「1/48 マッキMC200 サエッタ」(3300円)

 

■キットに関して

先にも書きましたが、マッキ MC.202フォルゴーレの1/32スケールとしては初のキット化です。近年の1/32大戦機モデルはフルディテールが多く、製作に手がかかるものが多いのですが、本キットはパーツ数も抑えられており、エンジン再現や3Dデカールを使った計器盤の再現などの新しい試みを盛り込みつつ、作りやすさを重視したキットとなっています。

フルディテールキットも魅了ですが、手軽に大スケールの飛行機モデルを楽しめる本キットはありがたいですね。

特に注目すべきは、イタリア機に多く見られる“スモークリングパターン”と呼ばれる特徴的なリング状の迷彩がデカールで再現されている点です。ベースとなる機体色を塗装して迷彩はデカールを貼っていけばOK! 塗らなくて良し! という構成になっています。

まぁ“スモークリングパターン”のデカールを90枚ほど貼る必要がありますが、エアブラシや筆塗りで描くことを考えれば、楽だと思います。もちろん塗装の腕に自信がある方は描いて貰って構いません(以前、1/48スケールのフォルゴーレでこの迷彩をエアブラシで描いたことがありますが正直大変でした)。

▲「マッキ MC.202フォルゴーレ」の完成モデル。エンジンカバーと機銃カバーは着脱可能となっている(画像はメーカー完成見本)

▲エンジンカバーを外せばアルファロメオがライセンス生産していたRC.41DB.601エンジンを見ることができる(画像はメーカー完成見本)

▲キットのパネルラインはやや太め

▲部分的に再現されているリベットは凹で表現されているが、かなりアッサリしているので、打ち直しが必要だ

▲キットに付属する3D印刷の計器盤デカール。立体感溢れるディテールとメーター類の指針もシャープに再現されている。3D印刷のデカールはディテールアップ用として社外品が発売されているが、高価なものが多いだけに、今回の付属デカールとしての採用には驚かされた。イタレリの本気が伺える

▲キットに付属のエッチングパーツ。ラジエーターのグリルや機体核の補強板などで使用。シャープなディテールの再現に使用する

▲インスト(組み立て説明書)は英語表記だが、今回、日本語対訳補足説明書が付属しているので、色名などが理解しやすい

▲カルトグラフ社製の高品質のデカールが付属。8種の機体マーキングが選べる。そのうち4タイプの“スモークリングパターン”迷彩を大判デカールで再現可能

▲これがスモークリングパターン迷彩のデカール

▲貼る位置は塗装図で細かく指定されている

▲マーキングは8種類の中から選べる。今回はスモークリングパターン迷彩のデカールを使いながら、派手目のマーキングの機体をチョイス

 

【次ページ】まずはエンジンから製作

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