■デカール貼りの便利ツールにも注目
デカール(水転写シート)は水に漬けることで水溶性の糊が溶けて、台紙からデカールフィルムが浮きます。水を入れる容器は特に決まりはないのですが、最近は良いサポートツールが出ています。
ありがちなトラブルが「水から引き上げたデカールをついうっかり放置してしまい、台紙上で乾いて剥がれなくなり泣く」というヤツです。
そこでデカールの乾燥を防ぐために ウエーブの「デカールトレイ」や模型向上委員会から発売されている「デカーリングQuickトレイ」を使うことで、トラブルが防げます。
Wave(ウエーブ)
「デカールトレイ」(638円)
二重構造式のトレイにより、複数枚のデカールを同時に水から引き上げられ、トレイ上に置いておくとこで乾燥も防げる。小サイズのデカールを貼る際に役立つヘラも付属する。
プラモ向上委員会
「デカーリングQuickトレイ」(1760円)
複数枚のデカールを一度に扱うことに特化。水を含んだPVAスポンジ上にデカールを置いておけるので、デカールが水の中に流れ出したりせず、台紙が乾燥してしまうこともない。小サイズのコーションデカールなどを貼る作業にも便利。また使用後の台紙を収納できのもありがたい。デカール用ABS製ピンセットデカーエウを切り出しに便利な曲線ハサミも付属。
■これは想定外!デカールの扱いが超シビア!
ということで準備万端、さっそくデカールを貼っていきましょう。
キット付属のデカールはイタリアのデカール専門メーカー、カルトグラフ社製。過去の経験から言わせてもらえば、カルトグラフのデカールは高品質なので、問題なくサクサク作業を進められるはず…。
いや、それは甘い考えでした。
デカールはフィルムも薄く、機体塗装の上に貼ることでちゃんとダークグリーンに発色します。その点は文句ないのですが、台紙上からちょっとでもデカ―ルフィルムを持ち上げると、いとも簡単に糊の面側に丸まってしまうことが発覚。扱いに細心の注意が要求されるデカールでした。
丸まってしまったデカールは、ピンセットで無理にほぐそうとすると破けてしまうため、一旦水に漬けて水中で慎重にほぐして、台紙上に移してリセットしなくてはいけません。そうなると糊の成分も失われてしまうのでデカールのりやマークセッターなどを使う必要が生じるなど、リカバリーにかなりの手間を要します。
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▲垂直尾翼に続いて胴体左が後部からスモークリングパターンを貼り込んでいく
■一枚ずつ台紙からスライドさせて貼っていく
というワケでスモークリングのデカールは台紙上から剥がして貼るのはNG。台紙ごと貼る位置にもっていき、デカールフィルムを機体上にスライドさせて貼っていきます。位置修正はたっぷりの水を含ませて慎重におこないます。
機体上のスモークリングの位置は決まっているので、今回はデカール3枚をワンセットにしてスモークリングの位置がずれないよう、皴が入らぬように位置調整しながら貼っています。これがなかなかに手間のかかる作業でした。
当初でデカールを貼り込む作業は乾燥を含めて2日で終わらせる予定だったのですが、予定を大幅に超えた4日もかかってしました。しかしプラモ製作、そしてデカール貼りに焦りは禁物、焦らず騒がず平常心で作業進めます。
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▲デカールが丸まってしまうのを防ぐため、台紙ごと貼る位置まで持っていき、慎重に台紙を引き抜いて、水で濡らした綿棒を使い貼る位置に密着させる
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▲インストの指示に沿って位置を決めて、左主翼付け根のデカールを貼り終えた状態
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▲位置修正の際はデカール表面にたっぷりと水を含ませておこなうこと。位置が決まったら濡らした綿棒で内側から外に空気を押し出して密着させる
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▲インストを参照しながらブロック単位でデカールを3~4枚ずつ貼っていくと位置決めがしやすい
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▲機体左側を貼り終えた状態。この状態で1日乾燥させることで、機体右側にデカールを貼る際に、機体左を持つことができるようになり、先に貼った左側のデカールが剥がれる、位置がずれるといったトラブルを防げる
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▲1日乾燥させたのち、機体右側もスモークリングパターンのデカールを貼っていく
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▲画像ではデカールのファイムが光って不自然な感じだが、乾燥後にクリアーでオーバーコート。塗装のデカールのツヤを統一することで、自然な仕上がりとなる
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▲今回チョイスした『第154群第396飛行隊1943年夏ガドゥラ』の機体はスピンナー(プロペラの根元にある覆い)にも迷彩パターンが入っている
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▲機体と機首のエンジンパネル、胴体下面のラジエターなど迷彩デカールを貼り終えた状態