■これからエアブラシの購入を考えている方へ
さて、達人のしょうもないエアブラシ昔話はこれくらいにして、役に立つ話を進めましょう。
ホビーの塗装シーンで使用できるエアブラシには、大きく分けて3タイプあります(シングルアクションタイプ、ダブルアクションタイプ、トリガータイプ)。基本的にはどのモデルでも汎用性が高く、さまざまな塗装に対応できますが、やはり大面積の塗装向き、細かな描画が得意といった具合に、モデルに応じて得手不得手があります。
また、単に安価だからと廉価モデルを選んでしまうと、必ずと言っていいほど性能に満足できなくなり、上位モデルに買い替えることになります。
購入に際しては「ミリタリー系モデルの塗装に使う」「カーモデルのボディのような光沢塗装がメインになる」あるいは「フィギュアのグラデーション塗装などに使いたい」といった具合に、どういう用途でエアブラシを使うかを考えて、最適な機種を選ぶことをオススメします。
■エアブラシ3タイプの特徴
①シングルアクションタイプ
もっともシンプルで入門用とも言われるが、それなりに本格的な塗装にも十分使用できます。カップに塗料を入れてボタンを押すだけで塗装を行えるので、ビギナーでも短時間で使いこなせます。
塗料の吐出量は本体後端のダイヤルを回すことで調整。ダブルアクション(下で解説)のような指先での微妙な吐出量のコントロールはできませんが、一気に色を乗せるカーモデルのボディ塗装や大面積を塗装に向いています。また上位モデルとなるダブルアクションやトリガータイプに比べて価格も抑えられています。
▼扱いやすいシングルアクションでも上位機種に負けない汎用モデル
タミヤ
「スプレーワーク HG シングルエアーブラシ」(9350円)
ノズル口径0.3mm。塗装幅1ミリ程度の細吹きや繊細な迷彩塗装から、カーモデルのボディなど広い面積の塗装まで幅広くこなすシングルアクションエアブラシ。構造もシンプルなので扱いやすい。容量の多い15ccカップを標準装備(エアーカンとの接続する場合にはアタッチメントが必要)。
②ダブルアクションタイプ
トリガーボタンを押すことでエアが出て、そのままボタンを引き下げることで塗料が出るタイプのエアブラシ。押して引くふたつのアクションで塗料を吐出するのでダブルアクションと呼ばれます。指先でトリガーボタンをコントロールできる(トリガーボタンの引く幅が大きいと塗料の吐出量が多くなる)ので汎用性が高く、大面積塗装のみならず、迷彩塗装等など細密塗装にも適しています。
▼ダブルアクションタイプのロングベストセラー
Mr.ホビー(GSIクレオス)
「プロコンBOY WAプラチナ0.3 Ver.2 ダブルアクション」(1万4680円)
Mr.ホビーから発売されているエアブラシ“プロコンBOYシリーズ”の最上位モデル。吹きはじめに塗料が一気の吹き出すのを抑えてくれるセミイージーソフトボタンの採用や、エアブラシ本体に設けられたエアアジャストシステムによりエア圧の微調整が可能。ダブルアクションタイプのベストセラー。口径はノズル0.3mm、10ccカップ標準装備。
③トリガーアクションタイプ
トリガーアクションは、ダブルアクションタイプやシングルアクションタイプのように、ボタンを押す引くというのではなく、トリガー(引き金)を引くだけでエアーと塗料を調節できるタイプのエアブラシです。トリガーを引くだけで塗装できるため、ビギナーでもすぐに慣れることができ、大面積の塗装でも指が疲れにないといったメリットがありますが、塗料の吐出量を調節するには慣れが必要です。一気に塗料を乗せることで光沢面を得るカーモデルのボディ塗装や、大スケールのRCカーの塗装にも適しています。
▼つやあり塗装や広い面積の特化したトリガータイプ
タミヤ
「スプレーワークHGエアーブラシワイド(トリガータイプ)」(1万8700円)
カーモデルのボディなど光沢塗装の際の太吹き、またメタリック色の塗装に性能を発揮するノズル口径0.5mmエアブラシ。アクリル塗料やエナメル塗料、またラッカー系塗料など、薄められるほとんどの塗料が使用でき、サーフェイサーの吹きつけにも使用できます(希釈は必要)。樹脂製グリップを採用しており、長時間の使用でも手が疲れないことも特徴です。容量15ccの大型塗料カップが付属。同型モデルで0.3mmタイプもラインナップしています。
■エアブラシで広がる塗装の楽しみ
先にも書きましたが、安価なモデルなどの普及もあってエアブラシは模型を楽しむユーザーにとって、より身近な塗装ツールになりました。とはいえ「扱いが難しいんじゃないか」「手入れが面倒くさそう」「使いこなせなせないんじゃないか」と敬遠しているユーザーもまだまだ多いのも事実。
しかし使ってみれば難しいものではなく(慣れは必要ですが)、塗装という世界が大きく広がり、それによりプラモの楽しみもさらに拡大していきます。いや実際プラモ製作では塗装が一番楽しいんです。コンプレッサーや塗装ブースなど近年はエアブラシを取り巻く周辺アイテムも充実。さらにハードルは低くなってきています。
もちろん誰だって初めから上手な人はいません。エアブラシは使いこなしていくことで塗装のテクニックも向上していくんです。だから面白い。
ということで今回はここまで。次回はよく質問を受ける「エアブラシの口径ってなんですか?」。そう、エアブラシ選びでも大きなポイントとなるノズルの口径について解説します。お楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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