達人流!エアブラシのトラブルレスキューQ&A【達人のプラモ術<エアブラシ編>】

【Q4】突然エアブラシが水を吹いた!

毎日蒸し暑い日が続きますね。こんな日は外に出ずにクーラーの効いた家で模型製作に没頭するのが一番ですよね。とはいうものの、プラモのエアブラシを使った塗装の大敵が湿度なのをご存知ですか?

雨の日や湿度の高い日にコンプレッサーに繋いだエアブラシを使って塗装していたら、いきなりビシャッと水を吹いて塗装が台無しになってしまった…。水性塗料でもないのになんで? って経験のある方も多いと思います。なぜこんなことが起きるでしょう、そしてどうすればふせげるのでしょうか?

<A:レギュレーターやフィルターを使うことで水吹きを防ぐ>

湿度の高い日や、コンプレッサー稼働時間が長い時に起きるトラブルが、エアブラシの水吹き問題です。

コンプレッサーが空気を圧縮した際、空気に含まれる水分も圧縮されます。その結果、大量の水分を含んだ圧縮空気となり、エアブラシに繋いだホース内で空気が冷やされることで、そこで結露、水滴に。これがエアブラシで塗料に混入し、一緒に吹き出してしまうために起こるトラブルです。

ホース内で結露する量は多くはありませんが、ホースの中の結露は確認しづらいため、ある日突然、塗料と一緒にビシャッと吹き出してしまうということです。

これを防ぐには、湿度高い日は塗装をしない…。それがベストではあるのですが、高温多湿の日本ではそうもいきません。

そこで対策としてコンプレッサーに水抜きタンクを装備する、あるいはエアブラシにドレンキャッチャーを取り付けることになります。

水抜きタンクの場合は、コンプレッサーの空気をいったんタンクに貯めて、そこからホースに空気を送るので、含まれる水分がホースに回るのを防いでくれます。

市販されている多くの模型用コンプレッサーは、初めから水抜きタンク装着されているものが多く、大抵の場合、エアーの圧力を調整するレギュレーターと一体になっています。模型用のレギュレーター(水抜きタンク)は、タミヤやMr.ホビーをはじめ各社から発売されているので、現在使用中のコンプレッサーに水抜きタンクが付いていない場合でも、後付けが可能です。

また、小型のコンプレッサーや低圧タイプでは、水抜きタンクがつけられない場合もあります。

その場合、簡易型としてエアブラシとホースの間に取り付けるドレンキャッチャーがあります。エアブラシとホースの間に繋ぐことで空気をいったん内部に溜めてくれるので、エアブラシに結露した水が回るのを防いでくれます。

あと達人的には、コンプレッサーに水抜きタンク、さらにコンプレッサーとエアブラシを繋ぐホースに透明なものを使用して予防しています。ホースが透明だと内部の結露が目視できるメリットがあります。そして最終防衛線として、エアブラシにドレンキャッチャーを装着することで水吹きを防いでいます。

▼タミヤ「エアーレギュレーター メーター付き」(6600円)

コンプレッサーからのエアー圧力の調整およびエアー中の水分やホコリも取り除けるレギュレーター。レギュレーターのないコンプレッサーに接続して使用する。本体上部の調整ダイアルを回して、エアーの圧力をゼロから最大まで無段階に調整できる。エアー圧力が一目でわかるメーター付。エアーホース接続は、模型用エアブラシの一般的な規格ネジSサイズを採用しているので、ほとんどのホースが取り付け可能。

▲タミヤ「スプレーワーク パワーコンプレッサー」(3万9600円)はエアーレギュレーターを標準装備している

▼Mr.ホビー「Mr.ドレン&ダストキャッチャー ライト」(3850円)

「Mr.ドレン&ダストキャッチャー」をエアブラシに接続することで、エアブラシ手前でエアホース内の水滴を除去してくれる。「ライト」タイプはアルミ製で24gと軽いのが特徴。また取り付けることでグリップの替わりにもなり、エアブラシが握りやくなる。

▲「Mr.ドレン&ダストキャッチャー」を取り付けた状態。これによりエアブラシのホールド感が良くなり、吹き付けの際の安定感が増す

▼タミヤ「エアーブラシ用フィルター」(2090円)

エアブラシとホースの間に接続することで、水分とホコリがエアブラシに侵入するのを防げる簡易フィオルター。「HGエアーブラシ」「エアーブラシライト」をはじめ、他社のエアブラシにも装着可能。本体がクリヤーブルーなので水が溜まっても視認しやすい。内部に溜まった水分はバルブを押すだけで排出できる。

▲「エアーブラシ用フィルター」を取り付けた状態。本体がクリヤーブルーなので水が溜まってもすぐに分かる

▼ウェーブ「HG スパイラルエアホース」(1980円)

ホースが透明なので、結露した水を確認しやすい

▲ウエーブの商品紹介でもホース内の結露が見やすいことを謳っている

 

【Q5】金属色を吹いたあと洗浄したのに、いつまでも金属粒子が取れない!

エアブラシでシルバーなどメタリック色を吹いたあと、しっかりと洗浄したにも関わらず、次にカップに入れた色に金属粒子が混ざってしまう。特にシルバーのあと黒色を塗装したような場合、塗装にシルバー粒子が混ざってしまうといったトラブルがあります。

エアブラシクリーナーなどを使ってしっかり洗浄したのに、銀の粒子がなかなか取れない。これも困ったものですよね。特にダーク系のソリッドカラーで仕上げたいカーモデルのボディに粒子が混ざってしまうのは最悪です。

<A:濃い塗料でしつこい金属粒子を絡めて排出!>

シルバーやゴールドなどのメタリック色は、金属粒子が含まれているため、エアブラシクリーナーやツールクリーナーを使っても通常のうがい洗浄ではなかなか取れません。エアブラシメンテナンスキット使っての完全分解洗浄という手もありますが、これも扱い慣れていないと、ニードルを曲げたり、ノズルを潰してしまったりといったトラブルの原因になるので、ビギナーユーザーにはあまりオススメできません。

塗装に気を使うカーモデラーに中には、エアブラシをソリッド系カラー専用とメタリック色専用を使い分けてる人もいます。詰まる所、それくらい洗浄が厄介だということです。

でもそのためにエアブラシをもうひとつ購入というのも懐に痛いですよね。

実はエアブラシ内部にこびりついた銀粒子は、意外な方法で落とすことができます。

通常のうがい洗浄を行ったあとに、ビン入りサーフェイサーや、艶消しのグレーなどを1%〜5%程度の希釈。塗料カップに1/4程度入れて、一度うがい撹拌したあと、塗料をそのまま捨て吹きします。

こうすることで、濃い塗料が金属粒子を絡め取り、エアブラシ内をキレイにしてくれるというワケです。

吹き捨てに使う塗料の濃度は、エアブラシの口径にもよりますが、0.3mm以下の口径では塗料は濃い目を維持しつつ、エア圧を高めにして吹くと良いでしょう。

捨て吹きが終わったら、改めてうがい洗浄してやればまずほとんどの粒子は取れているはずです。綺麗にならないと悩んでいる方はぜひ試してみてください。

▲ラッカー系でも水性アクリル系でも金属色を均一に仕上げるにはエアブラシは欠かせないのだが、使用後のクリーニングが大変。内部に残った粒子がなかなか取れない

▲銀塗装後、エアブラシクリーナーで3回うがい洗浄。ニードルもいったん引き抜いて拭き取り(オススメせず)をしても、通常のラッカー溶剤(薄め液)を入れたら表面に粒子が浮いてきた

▲さらに2回洗浄を繰り返して、黒塗料入れたところやはり粒子が浮いてきた。このままでは黒に銀粒子が混ざってしまう

▼Mr.ホビー「Mr.サーフェイサー 1000(ビンタイプ)」(374円)

▲銀塗装後のエアブラシ内部の捨て吹き洗浄でよく使用しているのは、ビン入りの「Mr.サーフェイサー 1000」だ。口径0.3mmのエアブラシでは5%程度、口径0.5mmのエアブラシではほとんど希釈なしで捨て吹きに利用している

 

■エアブラシは長く使えるツール

今回紹介したエアブラシのトラブルは、達人のプラモデル講座で相談を受けることの多いものの中からチョイスしてみました。

もちろん他にも「ニードルを曲げたらどうする」とか、「塗料が偏向してしまう」など、エアブラシにまつわるトラブルはたくさんあります。でもそのほとんどは解決できるものです、大事に扱い、適切なメンテナンスをしてやれはエアブラシは10年、20年と問題なく使えるツールです。

タミヤやMr.ホビーの公式YouTubeでもエアブラシのメンテナスを紹介もしています。そちらも参考にしていただければ幸いです。

▼タミヤのエアーブラシの特徴と選び方」

▼「GSIクレオス 長谷川迷人監修 エアブラシの概要説明」

さて! 次回はプラモの制作に戻ります、どんなキットを作りましょうか? お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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