入道雲を描いてハーバータグボート「ビンテージボックスジオラマ」完成!【達人のプラモ術<ハーバータグボート>】

■伸ばしランナーの張り線を取り付けてリアル感アップ

キットのインスト(説明書)を見ると、マストにワイヤー(張り線)をせよと指示されています。しかしながら張り線のパーツは付属していないので、自身で用意する必要があります。最近では艦船用の張り線には細い黒塗りの金属線を使ったメタルリギングなどが発売されており、よりリアルな仕上がりを得ることができますが、今回はオーソドックスかつお手軽に、伸ばしランナー張り線を使用しました。

要はプラモデルの完成後には不要となるランナー(パーツの枠)を切り出して、ライターなどで炙り、プラスチックが柔らかくなったところで細く伸ばしてワイヤー線を自作するというものです。飛行機のアンテナ線や張り線等でよく使われています。

伸ばしランナーを使ったアンテナ線の製作はシンプルかつ簡単にできるのですが、火を使うので注意が必要です。

またマスト間に張り線を取り付ける際に、弛まぬようにテンション(引っ張り)をかけつつ接着するのですが、マストもプラスチックなので張り線を引っ張りすぎると曲がってしまうので要注意です。

▲伸ばしランナーを使ったアンテナ線は、黒いランナーを使用することで塗装の手間を省ける。素材がパーツと同じプラ材なので接着剤との相性も良。アンテナ線の接着は瞬間接着剤を使用する

▲軍艦等の密度感の高い張り線に比べれば実にシンプルな張り線だが、それでも見た目のリアル感がアップする

▲張り線を接着固定する際にテンションをかけすぎて、前部マストが不自然に曲がってしまったの図

 

■フィギュアの塗装と取り付け

キットには船長とデッキクルー2人、計3体のフィギュアが付属しています。船長にはヒゲがあり(第1回記事参照)、ひとりはロープを片付けているポーズといった具合に、1/108スケ―ルの1cm足らずのフィギュアですが、なかかなに良い感じ。この時代のRevellの持ち味といったところです。

服の塗装は特に指示がされていなかったので、キットの完成写真を参考にして塗っています。さすがに小さいので老眼モデラーにはなかなか厳しいのですが、ギリ裸眼でそれらしく塗り上げて、甲板各所に取り付けています。

フィギュアが加わることで、より“働くタグボート感”、“ジオラマの臨場感”がぐっとアップします。船体との対比で船の大きさが分かりやすくもなります。

▲フィギュアは1cm足らずのサイズなので、塗装に際してはプラ板の端切れに瞬着で仮固定し、塗装の際の持ち手にすると塗装がやりやすくなる。ともかく小さいので完成見本写真を参考に、それらしく塗りあげている

▲ロープを束ねているクルーは後部甲板に配してみた。小さいながら雰囲気のあるポーズが実に良い感じ

▲もうひとりのクルーはキャビン後部に取り付けている。携帯電話をかけているようなポーズなのだが、この時代に携帯はないので、多分何か叫んでいるのだろう

▲船長は操舵室の脇に立たせてみた

 

■マスト折れました!

張り線を取り付けてフィギュア3人を船に乗せて完成!…だったのですが、ビンテージボックスの蓋を閉めたところ、思っていたよりマストが高く、えー…折れてしまいました。

そんなの事前の仮組みで分かるはずだろと反省しきりなのですが、どうやらベースを船体に取り付ける際に想定より高くなっていたようです。

ボックスの蓋とマストが干渉してアンテナが折れ、取り付けた張り線も切れてしまいました。

この時点で船体の位置修正はできないので、仕方なくマストを1cmほど切り詰めて、張り線もやり直しました。

仮組みは大事だなぁと改めて痛感かつ反省であります。

▲船体の取り付けが想定よりも高くなっていたため、後部マストがボックスの蓋に干渉して折れてしまった

 

■ジオラマ・アート「ビンテージボックスの中のハーバータグボート」完成!

最後にマストが短くなるというトラブルに泣きましたが、ビンテージボックスの海をいくハーバータグボート完成です!

LEDライトを組み込んだことで柔らかいオレンジ色に光るキャビン、そして操舵室の窓。また描き割りではありますが、蓋の裏側に空と入道雲を描いたことで、面白い世界観のアートジオラマとになりました。ミリタリージオラマとは一味も二味も違った今回の作品はお気に入りになりました。

情景模型を自由な発想で楽しんだ今回の「ビンテージボックスの中の海をいくハーバータグボート」いかがでしょうか?

完成後に作品を見てくれた子供が「カワイイ!これ作りたい」と言ってもらえたことが嬉しかったです。

プラデルは楽しいですね、さて次回は何を作りましょう

▼ビンテージボックスジオラマ「海をいくハーバータグボート」ギャラリー

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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