■ポルシェ911とは
1963年のフランクフルト・モーターショーで発表され、1964年に発売。以来、現在に至るまで常に第一級の走行性能を持つポルシェのフラッグシップモデルです。デビュー当初から一貫して「水平対向6気筒のリアエンジン車」としても知られています。
ポルシェ911 GT3 RSは、2022年に発表されたサーキット走行を重視した公道走行可能な高性能ロードカーになります。体各部にCFRP(※1)を多用することで軽量化を実現。ボンネットやフェンダーにベントを設けて、前後のホイールアーチやルーフに整流フィンを装備。さらに大型リアウイングは可変式の「DRS/空気抵抗低減システム」を採用してエアロダイナミクスを徹底的に追求しています。
525馬力4リッター自然吸気水平対向6気筒エンジンをリアに搭載し、最高回転数9000rpm、0-100Km/h加速3.2秒、最高速度296km/hというパフォーマンスを発揮します。
(※1)CFRPとは 2つ以上の素材を組み合わせた複合材(コンポジット)の一種で、炭素繊維(カーボンファイバー)を強化材として加えたものをCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics=炭素繊維で補強・強化されたプラスチックの頭文字をとった略語)と呼ぶ。炭素繊維は、高剛性、高強度といった特徴に加えて導電性・耐熱性・低熱膨張率・自己潤滑性・X線透過性」といった特性を兼ね備えている。
■ポルシェ好きなら知っておきたいポルシェ911なのに(992)の意味
さて車名ですが、キットではポルシェ911 GT3 RS(992)と表記されています。911なのに(992)って何?と調べてみたら、これがポルシェ911の歴史と切り離せない意味がありました。
1948年、ポルシェは「ポルシェ356」という初めてポルシェの名前を冠したクルマを販売。この(356)の後継モデルを開発する際、フォルクスワーゲンと提携を検討していたため、当時フォルクスワーゲンでは使用されていなかった900番台使い、6気筒エンジン版に(901)、4気筒エンジンに(902)の開発コードを与えました。そして(356)と同様に(901)(902)の開発コードを車名として販売する予定でした。
ところが、フランスのプジョーに「2桁目に0を使った3桁の数字はうちのクルマが使っている。既に商標登録もしているから使用できないよ」とダメ出しをされてしまったんですね。
そこでポルシェは、2桁目の数字を0から1に変更して(901)を(911)に、(902)を(912)へと変更したのです。
こうして誕生したポルシェ911ですが、代を重ねてモデルチェンジしても車名は(911)のままだったため、どの世代の(911)なのか区別できなくなってしまう。そのため(911)の車名はそのままに、型番を組み合わせて併用することで区別することにしました。964、993、996、997、991、そして7代目のポルシェ911が(992)となるワケです。いやー奥が深いです。
■キットに関して
タミヤの「ポルシェ911 GT3 RS(992)」は、今年10月に開催された『第62回全日本模型ホビーショー』で発表された最新キットです。本連載「達人のプラモ術」では過去に何度かカーモデルを製作していますが、今回は「NISSANフェアレディ240ZG」以来となるニューキット製作になります(以前製作の「フィアット500」や「1/20ポルシェ935 ヴァイラント」は再販モデルなのです)。
最近のタミヤのカーモデルは、ディテールの再現性や作りやすさを優先したパーツ構成など、目を見張るものがあります。
■塗装を考えたパーツ分割に注目!
本キットの特徴として、ボディ塗装で塗り分けが必要な部品は全て別パーツで構成されていることです。これまではマスキングをして塗り分けが必要だった部分を別パーツ化したことで、塗装のハードルが格段に下がっているのが大きな特徴となっています。
展示されていた実車を見ると、白いボディに対して、ボンネットやフロントフェンダーの上部にあるエアアウトレットなどは艶消しの黒となっています。マスキングしての塗分けとなると、なかなかに大変な部分ですが、黒色の部分は全て別パーツ化されたことで、それぞれを別に塗装して後で取り付けられるのはありがたい。
カーモデルを製作したことがある人ならば分かると思いますが、カーモデルの場合、マスキング塗装の際に塗料がハミ出すと修正が大変なんです。
■次回より製作スタート!
今回は話題のポルシェ911 GT3 RS(992)のキットを紹介しました。次回から製作を進めていきます! ボディカラーはキット指定のパールホワイトも良いのですが、イエローで仕上げたいと思ってます。お楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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