【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/24 ポルシェ911 GT3 RS(992)」
05/06
ポルシェ911 GT3 RSの製作もいよいよ佳境に入ってきました。今回はカーモデルらしいクリアー塗装から製作を進めていきます。(全6回の5回目/1回目、2回目、3回目、4回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
■ウレタンクリアーを使ったクリアー塗装
前回は、カーボンスライドマーク(平織り・極細)を貼り込んだデカールを48時間乾燥させて、クリアーによるオーバーコート塗装をスタートしました。今回、ボディのクリアー塗装には、より光沢を求めてウレタンクリアーを使用してみました。
■ウレタンクリアーとは?
ウレタンクリアーは、一般的によく使われるクリアーラッカー塗料のように溶剤の揮発で硬化するのではなく、ウレタン主剤と硬化剤を混ぜることによる化学反応で内部から硬化(2液混合タイプ)します。塗膜が硬く耐溶剤性にも優れているので、オートバイやヘルメットのカスタムペイント等で使用されています。光沢を求めるカーモデルの塗装ではよく使われている塗料でもあります。
ウレタンクリアー硬化後の光沢感が高く、塗膜がクリアーラッカーに比べて塗膜が強い(硬度が高い)のでキズがつきにくく、コンパウンド(研磨剤)を使った砥ぎ出しでありがちな下地が出てしまうといったトラブルもほぼありません。塗装にはエアブラシを使用します。
デメリットとしては、ウレタン主剤と硬化剤を混ぜた時点から硬化が始まるので、作り置きができず都度調合する必要があること。乾燥に時間が必要(24時間~)なこと。使用後のエアブラシは必ず分解洗浄が必要なこと(固まってしまったら溶剤で溶かすことができない)。また塗装に際しては、必ず塗装用のマスクをする必要があること、といったところです。
一般的によく使われるラッカー系クリアーに比べて扱いにくい塗料ですが、硬質感のあるガラスのような透明感が得られることもあって、カーモデルでは使われています。
今回使用したのは高品質なカーモデル専用色を発売しているフィニッシャーズの「ウレタンクリアーGP1(2液混合タイプ)」で、カーモデルの塗装では人気の高いウレタンクリアーです。
■「ウレタンクリアーGP1」の使用方法
主剤10に対して硬化剤1の割合で混合。エアブラシ塗装の場合、35~40%程度までの割合でウレタンシンナーを使って希釈する(これ以上の希釈は塗装面がゆず肌になる可能性があるので注意。ウレタンシンナーでの希釈は最小限に抑えることで光沢アップ)。
最初は3~5分程度のインターバルを開けて3回ほど薄吹きしたのち、本塗装を重ねて仕上げる。重ね吹きする場合は24時間以内に行うこと。24時間を超えると塗膜がヒビ割れするので要注意。常温(10~20℃)で24時間で硬化(気温や湿度によって数日かかる場合もある)。
使用後のエアブラシは完全分解してツールクリーナーで洗浄する。
■ウレタンクリアー塗装は焦らずとも大丈夫
「ウレタンクリアーは、主剤と硬化剤を混ぜた時点から硬化反応が始まる」と言われると、焦って塗装を進めなくちゃと思いがちですが、硬化自体はゆっくりと進むので塗装に焦る必要はありません。
3回程度うす吹きを重ねて、5分程度おいて本吹き2回で仕上げています。塗料の粘度が高いのので、まず垂れる心配もありません。
塗装後は乾燥ブースで乾かしつつ、ホコリやごみが付着しないように補完しました。使用したウレタンクリアーは、エアブラシの10ccカップで2回分といったところです。
使用の際は配合比が10対1で混ぜるのですが、あまり少ない量での配合は硬化不良などトラブルの原因となるので、今回は電子ハカリ(台所用を借用)を使って主剤10ccに硬化剤1ccを混ぜて調合、さらにウレタンクリアー用のシンナーを40%添加して使用しました。1/24カーモデルのボディならば15cc程度でちょうどよい量だと思います。余っても硬化してしまうので保存はできません。
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