「Wi-Fi」が「ワイファイ」と読むのはそろそろ常識になりつつありますが、ルーターのパッケージを見るといろんな数字やアルファベットが並んでいて、最近は「11ac」と書かれているものが増えています。裏面の説明を見ると「新世代無線規格『11ac』採用」とも。さらに細かい字をよーく見ると、「IEEE802.11ac」という表記も。コレ何ですか? そもそも何て読めばいいの?
ということで、お話を伺ったのはエレコム株式会社、商品開発部ネットワーク課コンシューマNW開発チームの上原純さん。ホント初歩的な質問ですみません……。
上原:いえいえ、確かに読み方が分からないと、店員さんに質問する時も困っちゃいますよね(笑)。『11ac』というのは正式名称『IEEE802.11ac(アイトリプルイー・はちまるに・ドットイレブンえーしー)』の最後の部分で、私たち開発の人間の間では『イレブンえーしー』で通じますが、量販店などでは『イチイチ・えーしー』でいいと思います。
ーではその「11ac」とは?
上原:『11』というのがIEEE802の中でも『無線通信』に関わる規格を表していまして、その後の『ac』は通信方法を表しています。この部分は他に『n』『g』『b』『a』などがあります。現在、量販店で買えるルーターとしては『11ac』のものが最速になります。
■「5GHz」と「2.4GHz」は何?
ー通信方法にいろいろな種類があって、その中で現状は「ac」が最速と。あと、「5GHz」「2.4GHz」というのも書いてありますね。こちらは何なんでしょう。「ギガヘルツ」って読むのはどうにか知ってるんですが……。
上原:これは通信に使う周波数帯のことですね。簡単に言うと、電波が通る道のどこの部分を使うかということで、これは総務省が『この部分はこの分野に使っていいですよ』と細かく決めています。テレビ局やラジオ局が『周波数は●●MHz』とかって言いますよね。あれのことです。
2.4GHzは最初に商業用の通信に使われるようになった部分で、今では様々な用途に使われています。Wi-FiやBluetoothもそうですし、あとは電子レンジが発する電波も2.4GHz帯です。最近は街角でよく見かける『Wi-Fiフリースポット』の普及などもあって、2.4GHz帯は電波が飛び交いすぎてぶつかったり渋滞を起こしたりするようになってしまいました。
そのため、2008年に新しく解放されたのが5GHz帯の周波数なんです。5GHzは他の2.4GHzのように、電子レンジやコードレスフォンなど、他の電子機器では使われていないため、もともと干渉が少なく速度が出やすい周波数です。それに加え、技術の進歩により一つの信号に含まれる情報をより増やすことができました。だから「速く」なるんですね。
さらにこの5GHz帯は、他の機器で使われていない周波数のため、今はまだ比較的空いてますから、通信がしやすいわけです。イメージとしては、『狭い旧道をみんなが使って渋滞がちだったところに、新しいバイパスがドーンとできて、快適に走れるようになりました』というところでしょうか。
ーなるほど、分かりやすい説明ありがとうございます!