【活用事例2】電話用とデータ用のSIMを使い分ける
格安SIMのデータ通信料は、大手キャリアに比べると圧倒的に安いですが、通話料はまちまちです。昨年来「5分かけ放題」の有料オプションを提供するMVNOが増えていますが、長電話が多い場合は、大手キャリアの通話定額のほうが割安というケースもあります。
また、基本使用料に「10分かけ放題」が含まれるワイモバイルや、4月24日から無制限の「かけ放題」オプション(月額2380円/税別)を開始した楽天モバイルなど、格安SIMでも長い電話を安心して利用できるプランが増えつつあります。
電話もネットもかなり使うという人は、自身の通話利用に適したSIMと、ネットを安く利用できるデータ専用SIMを組み合わせて使うのも経済的です。たとえば、電話用として大手キャリアのSIMを使い、2GB分のデータ量を組み合わせているのであれば、不足するデータ量を格安SIMで補うといいでしょう。ワイモバイルの最安プラン(スマホプラン S)と、MVNOのデータ専用SIMを組み合わせて使うのも検討の価値アリです。
【活用事例3】国内用と海外用のSIMを使い分ける
格安SIMは音声通話のローミングには対応していますが、データ通信のローミングには対応していません。つまり、SIMを1枚しか挿せないSIMフリースマホを持って海外に渡航した場合、現地でデータ通信を利用するには、モバイルWi-Fiルーターをレンタルする必要が生じます。現地で購入したプリペイドSIMに挿し替えて使うこともできますが、その場合は、日本で使っているSIMを外さなくてはならず、日本の電話を着信できなくなります。
DSDS対応のスマホがあれば、海外渡航時に、日本で使っているSIMを挿したままで、現地で購入したSIMを挿すことができます。つまり、日本の電話番号で待ち受けしつつ、滞在地での電話やインターネットは安い通話料・通信料で利用できます。現地の電話番号が付与されるので、レストランの予約などにも役立ちます。
特定の国・地域への出張が多い人は、日本のSIMと渡航先で使うSIMのふたつを常時セットしておくのもおすすめ。現地に着いてから抜き差しする手間が省けます。SIMはとても小さいので、端末から抜き取った場合は、紛失しないように注意する必要があります。紛失防止の意味でも、DSDSは有用といえるでしょう。
【活用事例4】格安SIMに乗り換える過渡期に利用する
現在、大手キャリアのスマホを使っていて、格安SIMへの乗り換えを検討している人の中には、「つながりにくくならないか?」「通信速度が遅くなるのでは?」といった不安を抱く人もいるでしょう。そんな人にも、DSDSは利用価値があります。
DSDSに対応するスマホであれば、大手キャリアの契約を維持しつつ、一定期間は格安SIMと併用し、通信品質やサービスなどを使い比べられます。その上で、格安SIM1本でもで支障がないと思えたら、大手キャリアを解約しましょう。その際、大手キャリアの電話番号をMNPで引き継いで新たに格安SIMを契約し、試用していた格安SIMを解約。あるいは、試用した格安SIMが通話対応であれば、その電話番号を友人・知人に知らせてから、大手キャリアを解約してもいいでしょう。解約に伴う費用を計算してから、最善の方法で乗り換えましょう。
もちろん、使い比べた結果「大手キャリアの安心感が手放せない」というのであれば、キャリアのスマホを使い続けて、DSDSのスマホは、海外旅行用として所持しておきましょう。海外では格安のプリペイドSIMを手軽に購入できることが多いので、SIMフリースマホを1台持っておくと、役に立つことがあるはずです。
いかがでしたか? 「便利かも!」と思える使い方はありましたか?
ちなみに「DS(デュアルSIM)」にもいろいろあり、2枚のSIMを挿せるけど、1枚でしか待ち受けできない機種もあります。それは「DSSS(デュアルSIMシングルスタンバイ)」と呼びます。また「DSDS」では、通話中にもう片方のSIMで通信することはできません。それができるものを「DSDA(デュアルSIMデュアルアクティブ)」と言います。将来役に立つかもしれない知識として、覚えておいてくださいね。
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(取材・文/村元正剛)
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。