アルテオンは、全長4865mm、全幅1875mm、全高1435mmと、同社の「パサート」よりもひと回り大きく、さらに2835mmという長いホイールベースを確保することで、広い室内空間を実現しています。
デザイン的には、セダンとクーペを“いいとこ取り”したファストバックスタイルですが、5名フル乗車で563L、後席を倒せば1557Lという広大な荷室スペースを誇ります。
キャンプなどのアウトドアギアはもちろん、自転車も積載可能なスペースを確保。SUVが高い人気を得ている昨今のマーケットにあって、セダンでも高いユーティリティを確保できるんだぞ、と主張しているかのような構成となっています。
開口部の大きいリアゲートは、キーを携行した状態でリアバンパー下に足を入れ、所定の動作を行うと、自動で開閉する仕組み。両手が荷物で塞がっているようなシーンでも心配いりません。
フロントのグリルバーがそのまま伸び、LEDヘッドライトと一体化したかのようなフロントフェイスは、ワイドなボディをより強調したグランドツーリングカーらしいもの。左右のホイールアーチまで覆うボンネットからテールランプまで続くキャラクターラインが、低く構えたデザインを印象づけてくれます。
また、ダイナミックインジケーターを採用したLEDのテールランプも、ひと目でそれと分かる個性を演出していますね。
パワートレインは、最高出力280馬力、最大トルク35.7kg-mを発揮する2リッターのTSIエンジンを搭載。そこに、「ゴルフ R」にも採用されている4輪駆動システム“4モーションと、デュアルクラッチ式の湿式7速トランスミッション“DSG”を組み合わせています。余裕のあるパワーと、1700~5600回転という広い回転域で発揮される豊かなトルクが、1700kgのボディでも余裕のある走りを実現します。
インテリアは、ブラックを基調とした“Rライン”仕様でスポーティな印象。さらに、リアルアルミを使ったパネルやピアノブラックのセンターパネルなどにより、フラッグシップモデルにふさわしい上質さを演出しています。
そのほか、ジェスチャーコントロール対応のインフォテイメントシステムや、デジタルメータークラスター、ヘッドアップディスプレイなど、最新のデジタルインターフェイスも搭載しており、機能面にも抜かりはありません。
最新技術のショーケースともいえる先進安全技術を搭載するのも、新たなフラッグシップモデルらしいところです。標準装備される“プロアクティブ・オキュパント・プロテクション”には後方からの衝突予測機能が追加され、事故が起きそうになると早い段階から乗員保護機能を作動させる準備を行うようになりました。そのほか、VWでは初採用となる“デイタイムランニングライト”や、万一の事故の際に歩行者にかかる衝撃を緩和する“アクティブボンネット”など、充実の安全装備を誇ります。
さらに、自動運転時代を見据えた運転支援システムも充実。渋滞時追従支援システムや駐車支援システムもしっかり搭載されています。
アルテオンには2種類のグレードが用意され、「Rライン 4モーション」が549万円、「Rライン 4モーション アドヴァンス」が599万円のプライスタグを掲げます。VWらしい質実剛健の基本性能や、最新の安全技術、そして、ほかのモデルとはひと味違う流麗なエクステリアと上質なインテリアなどを考えると、非常にアフォーダブルな設定といえるでしょう。
流行りのSUV級にユーティリティが優れていて、その上、走りが良くて上質な1台を求める方にとって、アルテオンは選択肢の第一候補に挙がりそうな1台です。
(文/増谷茂樹)
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