BMWの新3シリーズは「早く乗りたい!」と思わせる気合いの入った進化ぶり

まずエンジンは、従来の2リッター直列4気筒エンジンが、2リッターの直列4気筒エンジンへ。そして、3リッターの直列6気筒エンジンが、3リッターの直列6気筒エンジンへ変更されました。“?”な感じですが、誤植でもなんでもなく、実は直4と直6のいずれも、新開発エンジンに変更されたのです。

BMWは今、エンジンのモジュール化を進めていて、1気筒あたり約500ccの排気量に、気筒数をかけたエンジンラインナップになっています。すでに4気筒は導入されていましたが、6気筒の3リッターエンジンは、この3シリーズで初お披露目。340iに搭載される“B58N30A”型を見ると、従来の直6が排気量2979ccだったのに対して2997cc。圧縮比は10.2から11.0となっています。最高出力では20馬力アップの326馬力、最大トルクでは5.1kg-mアップの45.9kg-m。ずいぶんと力強いですね。しかも、EUテストサイクルにおける燃料消費率、および、CO2排出量は、10%ほど改善されているとのこと。

ここで少し整理しておくと、直4エンジンを搭載するグレードは320iと330iです。古くからBMWに興味のある方なら、グレード名の一部が排気量を表していたことをご存知のはずで、かつて3シリーズの3リッターモデルは330iでした。ですが今では、モデル名=排気量ではなくなっています。新しい3リッターエンジンが搭載されるグレードは、340iと名付けられています。

少し脱線しますと、このモジュールエンジンには直列3気筒版もあります。排気量1.5リッターで、ドイツ本国などではこの3シリーズにも搭載されていますが、今回、新しい日本向けモデルには設定されませんでした。その代わり…ではないですが、同じくLCIを受けた新しい「1シリーズ」に、この3気筒エンジンが搭載されています。さらにいえば、同じモジュールエンジンを横置きにレイアウトするMINIにも導入されていますし、ハイブリッドのスーパーカーである「i8」にも利用されています。いずれも3気筒です。

さあ、本題に戻りましょう。新しい3シリーズがなぜ「走らせてみないことには何もわからない」のか。エンジンに関していえば、パワーアップは力強さの上乗せなので、想像に難くありません。もちろんレスポンスなど気になりますが…。それに劣らず興味深いのは「サスペンション・システムのダンパー設定とハンドリング特性を刷新し、より一層スポーティな走りを実現」と発表されていることです。公表されていませんが、フロントサスペンションのアッパーマウントが従来3カ所だったのに対し、新モデルは5カ所に増えています。マイナーチェンジを機に過剰品質を見直し、問題ない範囲でのスペックダウンやコストダウンを図ることは珍しくありませんが、足回りをアップグレードしてきた点は、注目すべきポイントです。

といいますのも、4ドアセダン(とツーリングワゴン)である3シリーズには、兄弟車として2ドアクーペの「4シリーズ」があります。4シリーズは単なる3シリーズの2ドア版ではなく、多くのコンポーネントを供用しつつも、実は全幅も違う別のクルマなのです。キャラクターが違っていて、よりラグジュアリーな位置付けになっていると同時に、切れ味鋭いハンドリングが与えられています。3シリーズは、よりドライバビリティの高い方向性。テニスラケットやゴルフクラブに例えると、スイートスポットの広いキャラクターなのです。

新しい3シリーズは、その広いスイートスポットはそのまま、よりキレのいいハンドリングが与えられているのか? それとも、スイートスポットを狭めてまでスポーツドライビングを高めているのか? 興味は尽きないものの、「走らせてみないことには何もわからない」ことに間違いはありません。

気になります、一刻も早く乗ってみたいですね!

フロントエンジン、リアドライブを基本とするFRのパワートレインをブランドの理念として掲げてきたBMWですが、今ではついに、FFモデルの2シリーズ アクティブツアラー」や「同グランツアラー」をラインナップするに至っています。そのことがプラスに働いて、FRはよりFRらしいキャラクター付けへ振ってくる可能性もあります。期待に胸がバクバクする思いです。

さて、駆け抜ける歓びを体現するBMWだけに、走りの話題ばかりで突っ走ってしまいましたが、エクステリアでは新デザインのLEDヘッドライトやLEDフォグライトを採用。さらに安全装備として、歩行者検知機能付きの“衝突回避・被害軽減ブレーキ”や、ミリ波レーダー・センサーにより前方の車両との車間距離を維持しながら低速走行時には車両停止まで制御する“アクティブ・クルーズ・コントロール”、緊急時に救急や消防へいち早く手配できる“BMW SOS コールなどを、ほぼ全グレードに標準装備しています。それでいながら、お値段据え置き、もしくは、引き下げられたグレードもあるのです。

まさに、グッジョブ!

ちなみに、劇中で活躍していたM3の変更点は、リアコンビネーションランプのLED化にとどまっています。エンジンはMモデル専用の3リッター直6。最高出力431馬力、最大トルク56.1kg-mと、従来どおり怪物級のパワーユニットとなってございます。

<SPECIFICATIONS>
☆320i
ボディサイズ:L4645×W1800×H1440mm
駆動方式:FR
エンジン:1998cc 直列4気筒DOHC+ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:184馬力/5000回転
最大トルク:27.5kg-m/1350〜4600回転
価格:483万円(ツーリングは505万円)

<SPECIFICATIONS>
☆340i M Sport
ボディサイズ:L4645×W1800×H1430mm
駆動方式:FR
エンジン:2997cc 直列6気筒DOHC+ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:326馬力/5500回転
最大トルク:45.9kg-m/1380〜5000回転
価格:776万円(ツーリングは798万円)

(文/ブンタ)

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