■腕時計型のデバイスはあまりない?
「ウエアラブル」と聞くと、まずスマートウォッチ/スマートバンドのように“腕に巻く”デバイスを想像しがちですが、目立った商品はあまりありませんでした。
唯一存在感があったのは、Fitbitが発表した新モデルくらいでしょうか。Apple WatchやAndroid Wear、そして時計メーカーが展開するコネクテッドウォッチなどを除くと、純粋なウエアラブルデバイスという形で生き残っているブランドは同社くらいなのかもしれません。
一方、BtoB向けでは、“腕に巻く”という選択肢も提案され続けている模様。例えば工場のラインなど、現場でタブレットを使うと両手が塞がれてしまいます。「じゃあデバイスを腕に巻けばよいではないか」という商品もチラホラ…。とはいえ、どれも目新しさに欠ける印象でした。
■「メガネ」型を展示するメーカーが増えた気がする
一方、展示が増えたなぁと感じるのは、メガネ型のウエアラブルデバイス。OSにAndroidを搭載している製品や、メガネやヘルメットの上からでも装着できる製品が多く見受けられます。また、フレーム部分にカメラが搭載されていて、自身の見ている映像を遠くに伝達できる機能をウリにしている企業も多いですね。
何より、提案されるソリューションが具体的になり、実際にデモとして体験できるようになっていたことが印象的でした。例えば、翻訳ツールや美術館の展示の解説。あるいは、遠隔地のオペレーターに映像を伝えて現場の作業者に指示を出す。ドローンを遠隔で操縦する、などなど。
さて、そんな乱立する眼鏡型デバイスコーナーで目立っていたのが、QDレーザが展示していた「RETISSA Display」です。こちらは、小型プロジェクタで網膜に直接映像を投影するという技術が目新しく、体験コーナーには長蛇の列ができていました。
約3年前から開発を始め、過去のウェアラブルEXPOでは技術展示として参加していたとのこと。今年は商品展示が行われ、7月からの発売も発表しています。
同製品の特徴はピント調整が不要なこと。通常型のウエアラブルだと、メガネに映る映像を見ようとしなければいけないのですが、こちらはプロジェクターが目に直接映像を投影するので、視点をどこに合わせても良いといいます。
なお、レンズが付いているのは、視界を暗くして暗幕のようにするためです。
一方、ユニークな形状で注目されたのが、エンハンラボの「b.g.」というデバイス。同社は、メガネスーパーを展開しているビジョナリーホールディングスの子会社です。
昨年公開されたプロトタイプとは形状が大きく変化し、鼻の頭に存在感あるデバイスが乗る形状に…。第一印象としては「無しだろこれは」と思うデザイン。しかし、見え方のクオリティにこだわったという製品ゆえ、レビュー無しでの正確な言及は避けようと思います。
最後に、筆者が気になったのは、ボストンクラブが展示していた「neoplug」という規格。2016年に発表されたデザインで、一見すると通常のメガネだが、対応するデバイスを装着できるのが特徴です。
今年は5~6社のメーカーが同規格に合わせたデバイスを開発していました。こうした商品が洗練されていけば、ウェアラブルデバイスをより気軽に利用できるようになるかもしれませんね。