◼︎基盤の製造プロセスや品質試験場を公開
防塵服を身にまとい、最初に案内されたのはSMTセンター。SMT(Surface mount technology)とは「表面実装」のこと。プリント基盤に細かい電子部品を取り付ける工程で、そのほとんどは自動化されています。エプソン製のアームロボットなど、日本製の工業機器も多く見かけました。
精密な電子部品を扱う工程にもかかわらず、かなり接近して見ることができ、写真も撮り放題。OEMやODMに委託するのではなく、すべてのプロセスを自社で管理・製造していることをアピールしたかったのではないかと思います。
続いて案内されたのは品質をチェックする「QE(Quality Engineering)」という部門。大きく電気性能試験、構造試験、環境劣化試験の3つに分けられ、試験項目は全部で150以上に及ぶそう。たとえば、スマホを10cmの高さから全方位で合計2万8000回も落下させたり、サイドキーを1kgの力で10万回押したり、スマホに圧力をかけたり、ねじったり……。
スマホのさまざまな使い方を想定した試験の後に、端末を分解して、内部の損傷までチェックするとのこと。OPPOのスマホは、まだ日本で「防水」と呼べる水準には達していませんが、浸水や風雨による影響を試験する施設も整えられていました。
なお、当初は、撮影NGの前提で、組み立て工場も見学させてもらえる予定でしたが、残念ながら中止となりました。
◼︎深圳オフィスは、カジュアルな雰囲気
工場見学の翌日、深圳市内にあるオフィスを訪問しました。高層ビルの19階から22階までの4フロアを占め、管理部門、デザイン部門など、本社機能の一部があるそうです。ここは、世界4位のスマホメーカーのわりには小規模な印象を受けました。てっきり自社ビルがそびえているものだと思っていたので……。
深圳オフィスの内部は明るい雰囲気で、座席を固定しないフリーアドレスを採用し、服装もたぶん自由。スーツ姿の人が少なく、メーカーというよりはITベンチャー、あるいはクリエイティブ系の会社といった印象を受けました。ランニングマシンやトレーニング器具を揃えたジムがあり、ヨガやダンスができるスタジオも。さらに、香港を望むテラスがあったりと、居心地のよさそうな雰囲気でした。
筆者は中国語が多少話せるのですが、デザインの打ち合わせをしている社員が「どこから来たの?」と話しかけてきたり、取り掛かっている仕事について説明してくれたりと、なんともカジュアルな空気感。人材育成の担当者から、OPPOでは若い社員でも意見を述べられ、早い時期に後輩を率いる立場にまで成長させるシステムがあるいった説明を受けましたが、まさに、それを実感できる雰囲気でした。OPPOだけじゃなく、中国に、こういう会社が増えているとしたら、先行きが恐ろしいというか、期待できるというか……。
ちなみに、OPPOという社名は、中国語では「欧珀」と表記しますが、漢字に大きな意味はないとのこと。創業当初からグローバルでの展開を想定していたため、どの国・地域でも悪い意味にならないブランド名として「OPPO」と決めたそうです。