■スポーティグレード“F SPORT”もラインナップ
コンパクトSUVのニューカマー、UXの第1の魅力は、なんといってもエクステリアデザイン。“都会派”と称するだけあって、特にフロントからリアに向かうルーフラインは流麗で、SUVというよりもクーペやハッチバックに近いプロポーションです。
実はこのフォルム、見た目に美しいだけでなく、空力性能の向上にもひと役買っているのだとか。エッジが立ったようなリアのコンビネーションランプ周りや、タイヤ周囲のアーチモールも整流効果を高める効果があるようです。
キャビン部分が流れるようなラインを描いているのに対し、足下は大径のホイールと張り出したフェンダーによって力強さを感じさせる、クロスオーバーカーらしいシルエットです。ボディサイズは、全長4495×全幅1840×全高1520mmで、立体駐車場にも入る大きさ。ホイールベースは2640mmで、タイヤ&ホイールサイズは17インチと18インチが用意されます。
骨格は「プリウス」や「C-HR」と共通する“GA-Cプラットフォーム”を採用し、オフロードベースのSUVとはひと味違う、低重心化と高剛性化を実現。ボディパネルにはアルミ部材などを用いて、軽量化対策にも余念がありません。
インテリアは、内と外との境界を曖昧にする日本の建築思想に着想を得た造形で、従来のSUVとは異なる開放感を演出。見晴らしの良さを実現することで、運転中のタイヤ位置も認識しやすくなっています。ドライビングポジションは重心と同様に低めで、ステアリングを中心にレイアウトされたコクピットと相まって、ドライビングを楽しむことができそう。
フロントシートには、日本の伝統的な刺繍技法である“刺し子”をモチーフとしたキルティングを施され、インストルメントパネル上部のオーナメントには和紙のような質感を表現するなど、随所に“和”を感じる演出が採り入れられています。また、エアコンのレジスターノブには、世界で初めてワイヤレス給電技術により発光する機構を採用。伝統と先進性が調和した空間は、ドライバーだけでなく同乗者も快適に過ごせそうです。
パワートレインは、新開発の直列4気筒2リッター直噴エンジンと、それをベースとしたハイブリッド仕様の2種類を用意。ガソリン直噴エンジンは、高速燃焼による世界トップレベルの熱効率と、高回転まで爽快に回るフィーリングを併せ持ち、俊敏な走りを味わえます。
ハイブリッド仕様には、GA-Cプラットフォーム用の4WDシステム“E-Four”を搭載。前輪と後輪とをプロペラシャフトをつなぐ機械式の4WDとは異なり、モーターで後輪を駆動させる同システムは、雪道などの滑りやすい路面では4輪駆動に、スリップのない道では前輪駆動になり、走りの安定性と燃費を両立しています。
またハイブリッド仕様には、ドライバーの運転の仕方やナビゲーションの情報を元に、バッテリーの充放電を制御する“先読みエコドライブ機能”を初めて採用。実際の走行に合わせてバッテリーをコントロールすることで、より高効率な環境性能を実現しています。
単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせた先進安全技術“Lexus Safety System +”は、第2世代に進化したものを搭載。夜間の歩行者や昼間の自転車なども認識可能となった“プリクラッシュセーフティ”に加え、高速道路でレーダークルーズコントロールを使用している際に同一車線内の中央を走行できるようハンドル操作を支援する“Lexus CoDrive”も利用できるように。先行車や対向車を感知してハイビームの照射を制御する“アダプティブハイビームシステム”や、カメラで道路標識を読み取ってメーターとヘッドアップディスプレイに表示する“ロードサインアシスト”など、予防安全への取り組みも抜かりありません。
スポーティさをさらに強調したグレード“F SPORT”も用意され、専用デザインのグリルメッシュやサイドグリル、アルミホイールを採用。ボディ下部をダークトーンにコーディネートしています。
“F SPORT”のインテリアは、ステアリングやシート、メーターなどが専用デザインのスポーティなものに。足回りにも減衰力を細かく制御する“リニアソレノイド式AVS”や、フロントのパフォーマンスロッド、リアのパフォーマンスダンパーなどを採用し、走行安定性と乗り心地をさらにグレードアップさせています。また、サウンドによってスポーティな走りを演出する“ASC(アクティブサウンドコントロール)”も搭載しています。
「クリエイティブ・アーバン・エクスプローラー」というコンセプトどおり、オフロードテイストのSUVとはひと味違う、都会的な雰囲気をまとったUX。日本での発売は2018年冬頃とアナウンスされていますが、今から登場が待ち遠しくなる完成度を誇る1台です。
(文/増谷茂樹 写真/トヨタ自動車)
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