■Project Geminiとは?
「Gemini」の英語発音は “ジェミナイ”。「双子座」を意味します。Adobeは、ローンチ前のサービスを「Project〜」という呼称を用いるので、正式なサービス名は変わる可能性があります。例えば、「Adobe Gemini CC」とか。
どんなサービスかというと、“タブレットデバイスにぴったりのペイントツール”といったところです。
そもそもアドビは、無料で利用できるイラスト描画アプリとして「Adobe Photoshop Sketch」と「Adobe Illustlator Draw」を展開していますが、描画できるデータが、前者はビットマップ、後者はベクターという違いがあります。
それに対してProject Geminiは、ひとつのツール内でビットマップとベクターを使い分けられます。PhotoshopファミリーとIllustratorファミリーの両方に互換性を持つというわけです。ここが最もユニークな点ですね。
ちなみに、ビットマップとベクターの違いは本記事では詳しく触れませんが、「ベクターで描いた線はパソコンで拡大しても画像が粗くならない」と理解しておけばとりあえずOKです。
■Geminiのブラシは3種類
実際の画面では、左側にツールが、右側にレイヤーが並びます。左上でブラシを選択できるのですが、大きく3種類が存在します。
ひとつ目がビットマップベースで描けるピクセルブラシ。「Photoshop」でカスタマイズした自作ブラシもここに含まれます。普段から使っているお気に入りのブラシが使える、というわけです。
ふたつ目が、ライブブラシ。水彩画や油彩の絵の具が滲んだり混ざり合う様子が再現されます。Adobe Photoshop Sketchにも近い機能がありますが、こちらの方がよりリアルな質感になるとのこと。
3つ目がベクターで描けるブラシです。これに切り替えるとレイヤーも新設されるそう。例えばビットマップで下書きした絵を、ベクターブラシに切り替えてトレースするような使い方が期待できます。スムージングも調整可能。
ちなみに、Project Geminiのセッションでは、イラストレーターの和遥キナさんが登壇。これらのブラシを駆使してライブペイントを披露しました。約20分で書き上げられたのがこちら。
さすがプロですねー。ちなみに、水彩のライブブラシで色付けされ、消しゴムで消した部分に再度滲ませるオリジナルテクニックも披露。フォトショップブラシは、表面に色を散らして仕上げられていました。
■第2世代Apple Pencilのダブルタップにも対応
さて、新型iPad Proと合わせて発売された第2世代のApple Pencilではダブルタップ操作が可能になりましたが、Project Geminiもこの操作に対応します。今回のデモで確認できたのは、ダブルタップでブラシを消しゴムに変更する操作でした。
小さな改善点ではありますが、作業中に何度もペンを置いたり、手の位置を変えたりする必要がないのは、ありがたいですね。
* * *
早く試したい! という気持ちになりますが、Project Geminiのサービスとしての正式ローンチは2019年中の予定です。もう少し首を長くして待ちましょう。
なお、細かい仕様は変更になることもあるので、ご了承ください。
>> Adobe
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(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。
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