■そもそも5Gって何?
携帯電話の通信システムは、世代によって大別されています。ざっくり説明すると、下記のように進化してきました。
1G(第1世代):アナログ方式
2G(第2世代):デジタル方式
3G(第3世代):2Gを高速化させた規格
4G(第4世代):3Gを高速化させた規格
3Gと4Gの間に、限りなく4Gに近い「3.9G」と呼ばれた世代もあります。NTTドコモのサービスでいえば、3Gが「FOMA」、3.9Gが「Xi」です。3.9Gには「LTE」という通信方式が使われて、4GはLTEをさらに高速化させた「LTE-Advanced」という技術が使われています。要するに、3Gから4Gは「同じ流れの中で発展していった」と考えていいでしょう。
しかし、5Gは「4Gを発展させた」というよりも「新しい技術」と呼ぶべきものです。その理由は、従来の通信方式とは仕様が大きく異なり、利用する周波数帯も違うからです。5Gは、10Gbps以上の高速通信が可能になり、将来的には最大20Gbpsの実現が見込まれています。速さだけでなく、一度に大容量を通信できるので、多くの端末で同じサービスを同時に利用できます。さらに、低遅延、低コスト、低消費電力といったメリットも挙げられています。
現行の4Gの通信速度でも「速い」「満足」と感じている人はいるでしょうが、アプリのダウンロードに時間がかかったり、動画の再生中に止まったり、ということはありますよね? 5Gが普及すると、そんなストレスはなくなるでしょう。もはや、自宅に光ファイバーを引き込む必要さえなくなるかもしれません。5Gは「われわれの生活を変える画期的な通信サービス」と考えておいて間違いないでしょう。
■5Gスマホが続々登場
日本のみならず世界が重要視する5Gは、実は、かなり前から研究が進められていました。4Gが始まった2010年頃には、世界の主要な通信事業者や通信機器メーカーが研究・開発を開始し、MWCなど国際的な展示会で、その技術を披露していました。筆者は2015年からMWCを取材していますが、毎年「5G」は大きなテーマとして掲げられていたように記憶しています。
しかし昨年までは、5Gになると「高画質映像を瞬時に伝送できます」といったデモンストレーションが中心で、5G向けのスマホはほとんど出展されていませんでした。昨年あたりから、一部のメーカーがプロトタイプを参考出展していましたが、ショーケースに収めて、いかにもすごいことができそうな空気感を漂わせて鎮座している、という感じでした。
今年は多くのメーカーが5G対応モデルを出展。今年のバルセロナでは、まだ5Gは始まっていないので5Gに接続することはできませんが、その操作感を試すことができました。ファーウェイが発表した、折りたためるスマホ「HUAWEI Mate X」や、LGエレクトロニクスが発表した、2画面化できる「LG V50 ThinQ」は、5Gで実現する高速・大容量通信を想定して開発されたモデルと言っていいでしょう。
スマートフォンに搭載されるチップセットや通信システムなどを手がけるクアルコムのブースでは、実際に5Gで通信する展示も行われていました。
今年、世界に先がけて発売される5Gスマホは、クアルコムが開発した最新チップセット「Snapdragon 855」と、5Gモデム「Snapdragon X50 5G modem」を組み合わせて搭載しています。
これらを採用する7社(LGエレクトロニクス、OPPO、OnePlus、ソニーモバイルコミュニケーションズ、サムスン、Xiaomi、ZTE)の5Gスマホが展示され、会場内に設置させた5G用の基地局と通信して、高画質映像やゲームコンテンツを出力するデモンストレーションを見ることができました。