始動!女性ドライバーのための育成プロジェクト

先日開催された「モータースポーツジャパン2015フェスティバルインお台場」で発表された「マツダ ウイメン イン モータースポーツプロジェクト」。当日は、公募で選ばれた26名の参加メンバーのお披露目と、トレーニング車両となるマツダ「ロードスター」(NC型)の展示が行われました。

現在、FIA(国際自動車連盟)とJAF(日本自動車連盟)では、女性のモータースポーツ参加を推進する“Women in Motor Sport”活動を行っており、FIAアジア代表委員の井原さんは、賛同してくれるメーカーを探していたそうです。その主旨に共感したマツダは、井原さんの申し出を快諾! トレーニング車両となる15台のロードスターの提供を含め、プロジェクトへ協賛することを決定したのです。まさに“Be a driver”、走る歓びを信念に掲げる、マツダらしい決断です。
Mazda Women Motorsport マツダ ウイメン モータースポーツ 04
気になるプログラム内容は、3つのステップで構成。「STEP1」は4月から7月にかけて4回開講されるドライバー・トレーニングへの参加です。ここでは座学のほか、実技のトレーニングも行われますが、講師は井原さんに加え、マツダの車両開発ドライバーの参加も予定されているとのこと。ドライビングを基礎から学べるプログラムとなっているのは注目すべき点でしょう。

トレーニングの結果、優秀者は「STEP2」へとステップアップ。大分県で開催されるマツダエンデュランスレースのほか、年内に開催されるレースイベントへの参加が可能になるとのこと。さらに、優れた結果を残したメンバーに対しては、さらに上位レースへの参加サポートも予定されるなど、かつてない実践的なプログラムとなっています。
Mazda Women Motorsport マツダ ウイメン モータースポーツ 01
井原さんは「自分のモータースポーツ活動を振り返ってみて悔しかったのは、年齢などの制限があり、応募できないケースがあったこと。今回は制限を設けずに募集した結果、10代から60代の方まで応募していただきました。自分の経験を生かし、優秀な人材を育てたいと思います」と力強く語ります。

200名を超える応募者の中から選ばれた26名のメンバーは、台湾からの留学生、医師、主婦、僧侶など、年齢も職業もバラエティに富んでいますが、モータースポーツにかける想いは共通。「マニュアル車に乗るのは20年ぶりですが、ヘルメットなどのアイテムも準備万端です」、「学生時代、自動車部の友人の影響を受けてから、ずっとモータースポーツに憧れていました」と、トレーニング車両を前に意気込みを語る姿には、すでにレーシングドライバーらしい気迫すら漂います。

“モータースポーツに挑戦してみたい!”と思っても、個人では何からスタートすれば良いのか、を見極めることさえ簡単ではありません。基礎からドライビングを学ぶなら、レッスンに適したクルマだって必要になります。こうした数々のハードルが女性の挑戦者を阻む要因となっていました。しかし、世界耐久レース選手権で活躍、表彰台にも上がった経験を持つ井原さんが彼女たちへ伝えるアドバイス、走る歓びを凝縮したロードスターでのトレーニングは、メンバーにとってかけがえのないチャンスとなるのは間違いないはず。

とはいえ、マツダ ウイメン イン モータースポーツプロジェクトをレースに例えるなら、まだオープニングラップが始まったばかり。モータースポーツやクルマ文化の広がりのためにも、ぜひとも継続して欲しいプロジェクトだけに、井原さんと26名の女性ドライバー、そしてマツダの取り組みに、大いなるエールを送りたいと思います。

(文・写真/村田尚之)

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