■メーカー自らが手掛けるからこそ実現したチューニングメニュー
ダイハツのコペンには、「ローブ」、「エクスプレイ」、「セロ」という3つのデザインバリエーションがあり、それぞれに、スタンダードと走行性能を高めた「S」グレードが用意されています。新しいコペン GRスポーツは、そんなコペンの4つ目のバリエーションモデルであり、軽自動車、オープンカーともに、GRとしては初のモデルとなります。
GRカンパニーが手掛けるカスタマイズカーは、チューニングのレベルに応じて、気軽にスポーツドライブを楽しめるエントリークラスの「GRスポーツ」、その上に位置し、操る歓びを日常的に実感できる量産型スポーツモデルの「GR」、そして、台数限定生産となる究極のスポーツカー「GRMN」という3つのラインがありますが、その名の通り、コペン GRスポーツのチューニング内容は、最もライト。価格も、CVT仕様が238万円、5速MT仕様が243万5000円と比較的手を出しやすく、GRシリーズのエントリーモデルとして、気軽にスポーツドライブを楽しめる内容になっています。
もちろん、エントリーモデルといっても、“メーカー純正チューニングカー”を多数手掛けてきたGRカンパニーのノウハウがふんだんに注入され、スポーツドライビングのカギとなる部分には、きちんと手が入れられています。例えば、ボディには専用のフロントブレースとセンターブレースを採用し、オープンカーで気になりがちなボディ剛性をしっかり確保。
さらに、フロア下面の空気の流れを整流し、ボディの接地感や操舵時の正確で軽快なハンドリングを実現する、専用の床下スパッツも採用しています。
足回りに目を向けると、強化されたボディに対してレートを最適化した赤いスプリングに、しなやかさを追求したショックアブソーバーを組み合わせ、ホイールには鍛造16インチのBBS社製アルミホイールを採用しています。また、電動パワーステアリングにも専用チューニングが施されていて、ステアリング操作に対して機敏に反応する、ライトウエイトスポーツカーならではの軽快な走りを味わえそうです。
エンジンはベースモデルと共通ですが、64馬力を発生する3気筒DOHCターボ“KF”型ユニットは、吸気バルブの開閉タイミングを変える“DVVT”を備えていて、鋭い加速には定評があります。また、CVT仕様に採用されるのは、7速の“スーパーアクティブシフト付CVT”で、シームレスな加速を楽しめるDモードと、スポーツカーらしい有段変速を楽しめるSモードとを切り替えられ、マニュアル変速も選べます。
シフトパドルも備えていて、シフトダウン時にはブリッピング制御でエンジン回転数を合わせてくれるのもうれしいところ。一方の5速MT仕様には、駆動輪に適切なトラクションを配分し、スムーズなコーナーリングと鋭い立ち上がりを実現する“フロントスーパーLSD”が装備され、走りに対する期待を高めてくれます。
■GRのノウハウと、トヨタにはない商品価値とが融合
走りを司るメカニズムと同様、コペン GRスポーツの外装デザインは、走るための機能性を優先。GRシリーズのアイコンである“Functional MATRIX”グリルを採用したフロントフェイスは、開口部が大きく、エンジンの冷却性能向上に寄与します。また、アンダースポイラー形状のフロントバンパーは側面が延長され、エアアウトレットも装備されるなど、空力性能の向上も図られています。
さらに、ディフューザー形状のリアバンパーも専用品。水平基調でワイド&ローなルックスは、スポーツカーらしくて迫力がありますね。このほか、フロントスポイラーやサイドスカートなどのオプションパーツも用意されていますので、さらなるドレスアップも楽しめそうです。
内装では、専用のレカロ製シートが目を引きます、GRロゴがししゅうされた専用品で、いかにもホールド性が高そう。
GRのエンブレムが光るMOMO製革巻きステアリングホイールも専用品で、その奥には、赤い針が数値を刻む、専用の自発光式3眼メーターが広がります。その上で、センタークラスターやドアグリップがピアノブラック調にまとめられ、大人っぽい雰囲気に仕立てられています。
トヨタ自動車とダイハツ工業というメーカーの垣根を超え、GRが培ったスポーツカー作りのノウハウと、トヨタのラインナップにはないライトウエイトスポーツカーとが融合したコペン GRスポーツ。生産はダイハツの池田工場コペンファクトリーで行われ、トヨタとダイハツそれぞれの販売店で購入できます。
GRカンパニーがボディと足回りを手掛けた2シーターの軽オープンスポーツは、果たしてどんな乗り味なのでしょうか? その刺激的な走りを早く公道で味わってみたいところです。
(文/増谷茂樹 写真/トヨタ自動車、ダイハツ工業)
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