■200km/h走行時のダウンフォースが約42kgも増量
去る10月5日と6日、イタリアのミラノにおいて、ヨーロッパ最大規模を誇るアバルト車のファンミーティング「アバルト・デイズ2019」が開催されました。その会場でファンにお披露目されたのが、アバルトの創業70周年を記念して誕生したスペシャルモデル、695 70thアニヴェルサリオです。
アバルトの創業者であるカルロ・アバルトといえば、単にエンジンのパワーやトップスピード、加速性能を追求するのではなく、クルマをトータルでチューニングすることで、走りのパフォーマンスを追い求めた名チューナー。その手法は多くの支持を集め、今ではフィアットの高性能ブランドにその名が冠せられています。
今回お披露目された695 70th アニヴェルサリオは、そんなカルロ・アバルトへのリスペクトモデル。アバルト創業年の1949年にちなみ、世界で1949台が限定生産されます。
過去にも何度か「695」の車名を冠したスペシャルモデルをリリースしてきたアバルトですが、今回の695 70th アニヴェルサリオで目を引くのは、これまでのモデルでは見られなかった派手なエアロパーツ。中でも特徴的なのは、新開発のリアスポイラー“アセット・バリアブル”です。
このスポイラーは、イタリア・トリノにあるFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)社の風洞実験施設でテストが繰り返された“機能パーツ”であり、0〜60度まで任意に角度を変更できます。
ちなみに、スポイラーの角度を最大の60度にセットした(=立てた)場合、200km/h走行時に生じるダウンフォースは最大42kgもアップ。その結果、サーキットなどでのスポーツ走行時にグリップ力と走行安定性が高まり、ドライバーがステアリングを修正する頻度も大幅に軽減されるとうたわれています。
そのほか695 70thアニヴェルサリオには、前後のフェンダーアーチやサイドスカート、ミラーキャップといったボディキットも装着。ボンネットにはアバルトのシンボルであるサソリを、ルーフにはチェッカーフラッグを、それぞれモチーフにしたステッカーがあしらわれています。
ボディカラーは、695 70thアニヴェルサリオ専用色として、新色のモンツァ1958グリーンが設定されました。これは1958年に、モンツアサーキットで6つの世界記録を打ち立てた、初代のフィアット「500アバルト」に塗られていたカラーを現代風にアレンジしたもの。前後のフェンダーアーチやサイドスカートは、アバルト車でお馴染みのグレー“グリジオカンポボーロ”にペイントされています。このほか欧州仕様には、ホワイトやブラック、濃紺などのボディカラーも設定されていますが、日本にも導入されるのか? 気になるところです。
■トップスピードは225km/hという韋駄天ぶり
695 70thアニヴェルサリオに搭載されるエンジンは、180馬力/25.5kgf-mを発生する1.4リッターターボ。静止状態から100km/hまでの加速タイムは6.7秒(MT仕様)、最高速度は225km/hをマークします。さらに、アバルト車でお馴染みの“レコードモンツァ”アクティブエキゾーストシステムが装着されているため、刺激的なエキゾーストノートにも期待が持てます。
そうした強心臓によるハイパワーを受け止めるべく、695 70thアニヴェルサリオは足回りも強化。17インチのタイヤ&ホイールを装着するほか、名門・ブレンボ製のブレーキシステムを標準装備。さらに、快適性とコーナリング性能を両立する、コニ製のショックアブソーバーも採用されています。
一方のインテリアは、スペシャルモデルならではの特別な仕立てに注目。サベルト製のスポーツシートは、ヘッドレスト部分にイタリアントリコロールをあしらった専用のシート生地を採用。センターコンソール部には限定モデルらしく、シリアルナンバーを刻んだプレートが装着されます。
そのほか、コクピット中央にある7インチのディスプレイには、走行パフォーマンスを測れる専用アプリ“アバルト・テレメトリー”を内蔵。また、Apple Car PlayやAndroid Autoにも対応しているので、スマホを接続することで「Google Map」を始めとするナビゲーションアプリなども活用できます。
気になるプライスは、歴代の695シリーズや、すでにオーダーを受け付けている並行輸入業者の値づけなどから判断し、約500万円と予想。来る11月9日、富士スピードウェイで日本版のアバルト・デイズ2019が開催されるのですが、会場で上陸時期や価格といった詳細がアナウンスされることに期待しましょう。
(文/&GP編集部 写真/FCA)
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