海外勢が8Kテレビに積極的な理由は、米国、そして中国の市場では好まれる画面サイズが日本より大きく、70型以上の市場が存在すること。そして、75インチ以上の超大画面では4Kでも解像度が足りないから、アップコンバート前提で8Kパネルというのが自然な流れです。
世界で唯一8K放送のある日本が8Kの総本山と思われがちですが、むしろ8Kソースの有無など気にしない海外の方が先行している状態になっています。
■クリエイターや団体の“お墨付き”がトレンドに
薄型テレビの展示で面白い傾向も見られました。各社4K、8Kといったパネル解像度の性能以外にさまざまな形で高画質を表現し始めていることです。
CES2020で大々的に発表されたのが「Filmmaker Mode」。これはクリストファー・ノーラン監督らハリウッド映画監督からの要望で実現した、監督の意図通りに映像を表示する映像モード。映像を滑らかにするフレーム補間をOFFにして画角変更が無効になります。昨年8月に内容が発表された後、パナソニックとLGが2020年モデルから搭載しています。「Filmmaker Mode」対応機種は超一流監督の推奨モデルになるという訳です。
また、8Kの標準化と啓蒙活動を目的とする“8Kアソシエーション”による認定ロゴ「8K ASSOCIATION CERTIFIED」の認証もスタート。8Kアソシエーションはサムスン、パナソニック、ハイセンス、TCLら22社が参加している団体で、8K解像度を備えるだけでなく、ディスプレイ輝度は600nits以上など8Kテレビとして最低限の画質基準が定められています。今後、高品位な8Kのひとつの目安となっていきそうです。
昨年からスタートしている「IMAX Enhanced」によるロゴ認証を取得したモデルも登場。「IMAX Enhanced」は元々、映像配信も想定した高画質・高音質の伝送を定めていますが、ディスプレイの性能認証の役割もあり、会場内ではさまざまなモデルが登場していました。
そして、TCL発表会で発表された「THX Certified Game Mode」。ゲーミングはCES2020でも人気テーマで、低遅延の技術もテレビに入り始めています。THXは映画監督のジョージ・ルーカス率いるルーカス・フィルムから始まった映像・音響の認定プログラムですが、ゲーミングでは低遅延と高画質モードを提供します。
映画業界発の働きかけが目立ちますが、薄型テレビには「8K」の高画質だけでなく、さまざまな高画質や表示性能があるのも事実。クリエイターや団体の“お墨付き”は、テレビ選びの新基準として定着していきそうです。
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(取材・文/折原一也)
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