■実は昨秋から始まっていた楽天モバイルのMNOサービス
「無料サポータープログラム」って何? という人もいるかもしれません。まずは、これまでの経緯を紹介しましょう。
楽天モバイルは、携帯電話向けの周波数帯を使う権利を取得し、2019年10月から携帯電話事業に参入しました。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク(ワイモバイルを含む)に続く、第4の携帯電話キャリア(MNO=移動体通信事業者)となったわけです。
しかし10月の時点では、通信ネットワークの準備などが十分とは言えず、約5000人が対象の「無料サポータープログラム」としてサービスを開始しました。本格的なサービス開始は「2020年4月」と予告したので、事実上、サービス開始を延期したと捉えても間違いではないでしょう。なお、NTTドコモやKDDI(au)の回線を借りて提供するMVNO(格安SIM)のサービスも、引き続き提供しています。
実は、筆者は「無料サポータープログラム」の1次募集に当選して、すでに楽天回線を使っています。対象端末は購入しましたが、100GBのデータ通信が無料で、追加チャージも無制限。国内・国際通話も無料で、さらにアンケートに回答するなどの条件をクリアすれば楽天スーパーポイントがもらえるという、至れり尽せりの内容です。
■いち早く楽天回線を試せる無料サポーターを2万人追加
1月23日から始まった2次募集は、楽天回線のエリアが拡大し、「楽天Link」という独自サービスが開始したのを機に実施されるものです。対象となるのは1次募集と同じく、東京23区、大阪市、名古屋市、神戸市に在住し、満18歳以上で、新規またはMNPで契約できる人。さらに「楽天Linkをご利用いただくこと」という条件も加わっています。
対象となる地域に制約があるのは、楽天回線のサービスエリアは、まだ東名阪エリアに限られるからです。しかし、楽天回線のサービスエリア外では、パートナー関係にあるau回線につながるので、「全国で使える」と考えていいでしょう。
楽天回線のエリアでは、まだ利用者が少ないため、比較的高速でつながるというメリットがある反面、「地下や建物内ではつながりにくくなる」「au回線に切り替わる際に電話が途切れる」といったデメリットも報告されていました。
楽天モバイルの山田善久社長によると、基地局の設営は計画を上回るスピードで進み、4月からはau回線との接続方式を変更することにより、電話が途切れる事象も解決されるのとこと。
■超コンパクトなオリジナルスマホ「Rakuten Mini」を発売
「無料サポータープログラム」の2次募集を機に、新たな対象モデルも発売されました。かねてから発売を予告していた楽天モバイルのオリジナルモデル「Rakuten Mini」です。なんと、わずか79gというコンパクトなスマホで、iPhone 11 Pro(188g)の半分以下。iPhone 11 Pro Max(226g)の約1/3という軽さです。おサイフケータイを利用でき、eSIM(組み込み型のSIM)を採用していることも特徴。しかも、購入時からSIMロックフリーです。
画面サイズは約3.6インチで、背面カメラは約1600万画素、フロントカメラは約500万画素。バッテリーは約1250mAhで、小さいながらも、そこそこのスタミナを備えています。いち早く触れてきましたが、とにかくかわいいです。iPhone SEよりも小さく、ガラケー時代に人気を集めたソニー・エリクソンの「premini」を彷彿とさせるようなサイズ感です。メイン端末としてよりも、2台目のスマホや、子ども用スマホとしての需要がありそうに感じました。
■4月からの本格サービス。料金プランはどうなる?
発表会で山田社長は、MNOの本格サービスを4月に始めることを、あらためて明言しました。近く発表されるであろう料金プランについては、「低廉な価格での参入に意義があり、それなりにインパクトがある数字を示したい」と話していました。まずは、4Gでのサービスから始まりますが、早くも6月には、山田氏いわく「何かしらの形で」5Gのサービスも開始する予定とのこと。続報が入ったら、また取材してきます。
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(取材・文/村元正剛)
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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