■発売後もどんどん賢くなっていく
また、本体内蔵ソフトウエアは3カ月ごとにアップデートしていく模様。
「クアッドコアプロセッサや大容量メモリ、高性能光学センサーなど、清掃だけの機能で見れば、かなりの余裕を持たせた設計になっています。これは将来のソフトウエアアップデートを見据えたもので、3カ月ごとにアップデートしていきます。アイロボットはフィードバックに基づいて機能追加改善を常に行っています」(山内部長)
s9+は米国では2019年5月に発売したが、日本へは9カ月も遅れての投入となった。その経緯についてアイロボットジャパン合同会社 代表執行役員社長の挽野元氏は次のように語った。
「我々は基本的にグローバルプロダクト戦略を採っており、世界で同じ商品を売ろうとしていますが、各市場での品質要求は異なります。日本のお客様は品質要求が非常に高いので、ある程度製品が受け入れられることが重要です。そこで(米国などの市場での)フィードバックを聞きながら、よりよいものを市場に投入することになりました」(挽野社長)
コリン・アングルCEOは続ける。
「ロボットの形状がD型になったことでナビゲーションがより複雑になりました。日本の家庭では家具やものの密度が高いため、s9+は2世代目のナビゲーションソフトウエアを搭載しています。これはいい意志決定になったと考えています」(アングルCEO)
■さまざまなサービスを通じてルンバ愛好家を増やしていく狙い
アイロボットは2019年に史上初の売上高12億ドル(前年比+11%)、累計販売台数3000万台を達成しました。そのうち900万台が「iRobot Home」アプリを通じてインターネットにつながっているといいます。
2018年10月には税抜き5万円を切りながらもWi-Fiに接続して遠隔操作も可能なスタンダードモデル「ルンバe5」を発売し、15カ月連続数量シェア1位に。また、2019年2月に発売した「ルンバi7」シリーズは販売金額シェアで11カ月連続1位になったと挽野社長は説明。
2019年6月には月額1200円から利用できるサブスクリプションサービス「ロボットスマートプラン」をスタート。挽野社長は「まだスタートして1年経っていませんが、継続利用したいという方が98%おり、『迷っているけど使ってみようか』というきっかけになっていると思う」と語りました。
挽野社長は今後の戦略やルンバs9+について次のようにアピールした。
「2018年10月に、『一家に1台ロボット掃除機を』と宣言し、2023年までの5年間でルンバの普及率10%を達成したいと発表しました。いろいろな試みを通じて現在は普及率6.3%となっており、着実に進んでいます。
2020年、アイロボットは『最高の顧客体験を提供する』というテーマで市場にアプローチしていこうと思っています。ルンバs9+は最高レベルの技術を持った商品です。これを使っていただいて、『使ってよかったな』、『生活の質が上がったな』と思える世界を実現していきたいと考えております」(挽野社長)
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(取材・文/安蔵靖志)