ランナーにとって大事な要素であるフィット感、効率的な力の活用を重視した「ナイキ ルナエピック フライニット」の開発は、アッパーから始まったとのこと。軽く、通気性があるというのはもちろんのこと、アーチやかかとの周囲は編目の密度を変えることでサポート性を向上させている。
フライワイヤー ケーブルを編み込むことで、足の動きにも十分に対応する強度が確保されている点も特長だろう。加えて、ミッドカットデザインを採用したことで、物理的にも、感覚的にも足首周辺の安定性が高められているのだ。
ミッドソールには、デュアルインジェクションというテクノロジーが用いられている。硬度の異なるふたつのフォームを、接着剤を使わずに熱によって融合。よりスムーズなライド感を実現している。
アウトソールにはゴムを使用せず、足圧分布図(プレッシャーマップ)を参考に、レーザーで切り込みを入れて作ったピストンのような構造を採用。着地時にそれぞれのピストンが個別に動き、荷重のかかった部分だけが圧縮することで、重心移動を滑らかにし、推進力を生んでくれる。
実際に履いてみると、まず足入れ時の感覚に驚く。大げさでなく、ソックスに足を入れているようで、フィット感の良さはすぐに伝わってくる。履き心地は柔らかいが、フライワイヤー ケーブルのおかげか、中足部は十分に安定していそうだ。気になるミッドカット部分だが、足入れをした時点では少し長めのソックスを穿いたという感じ。
実際に5kmほど走ってみる。アキレス腱のあたりがサポートのために少し硬く設定されているのが、もしかしたら気になるかと思ったが、走り出すと忘れてしまうレベル。それよりは、フィット性やクッション性の高さが感じられ、楽しく走れた。ファンランナーのトレーニング用、シリアスランナーのリカバリーラン用に適していそうだ。
(文/神津文人)
カルチャー誌ファッション誌、モノ誌とメンズ誌の編集部を渡り歩いてフリーランスに。現在はフィットネス関連、スニーカー関連を中心に雑誌やWebメディアで執筆中。『青トレ:青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)にも携わった。
- 1
- 2