ヒントはホバークラフトやミニ四駆!?バルミューダ初のクリーナーが斬新すぎる

AC(交流)モーターが当たり前だった2010年に、省エネながら高価なDC(直流)モーターを搭載した扇風機「The GreenFan」を大ヒットさせ、2015年には水をスチームにすることで外はカリッ、中はフワッとしたトーストを焼ける「BALMUDA The Toaster」を発売して大ヒットを飛ばした。

それ以外にも数々の注目製品を送り出してきたバルミューダだが、100年以上も前に開発されて機能や性能を向上し続けてきた掃除機カテゴリーに投げかけてきたのは「動かしにくさ」と「取り出しにくさ」の解決だったという。

新しい商品カテゴリーを切り開くに当たって社内から掃除機のリクエストが出てきた時に、寺尾社長は「掃除機よりも、掃除したい時にサッと取り出して掃除して、サッとしまえる(花王の)クイックルワイパーの方が便利だと考えていた」と話し会場の笑いを誘った。

「掃除機が不便な点は主にふたつある。ひとつは前後にしか動かせなくて、人が操作するものとしては圧倒的に可動域が狭い。もうひとつが取り出しにくさだ。わが家では掃除機を出しっぱなしにしない。部屋の中はもちろん、廊下などの共有部にも掃除機を出しておかない。部屋の中に赤や金色、紫など、ある程度インパクトのある機械を置きたくなかった」(寺尾社長)

■縦横斜め、自由自在に動く「ホバーテクノロジー」

「縦横斜め、自由自在に動かせる掃除機」を想像した時に寺尾社長が思い描いたのが、空気を下部に送り出すことで船体を浮かせ、プロペラを使うことで陸上も水上も動き回れる「ホバークラフト」だった。

「ホバークラフトのように少し浮きながら、もしくはすべるように動かせて、かつ部屋の片隅や階段の手前、廊下など生活空間の片隅に置いてあっても自然な美しさのある掃除機があったら、と考えた」(寺尾社長)

そこで誕生したのが、ブラシローラーを2つ内蔵する「デュアルブラシヘッド」と「360°スワイプ構造」、「低重心設計」によって組み合わせた「ホバーテクノロジー」だ。

2本のブラシローラーを前後に配置し、それぞれが前後からのゴミやホコリを内側にかき入れるように回転することで、床面との摩擦抵抗を減らす。さらに左右に偏軸二輪式キャスターを設置することで、前後左右自在に動かせるようになっている。

▲2本のブラシローラーを前後に配置する「デュアルブラシヘッド」

360°スワイプ構造は、360°自在に動く「ユニバーサルジョイント」によってデュアルブラシヘッドと本体をつなぐことで、柔軟に掃除機を動かせる構造だ。それに、本体を下方に配置した低重心設計によって、「この自在な動きが初めて可能になった」という。

▲360°自在に動く「ユニバーサルジョイント」

ヘッドの四隅には「ミニ四駆から着想を得た」(寺尾社長)という「角ローラー」が付いており、壁際を横にスライドするように掃除できる。ハンドルはどの方向から持っても操作しやすいようにスティック形状を採用。スティックの最上部に電源ボタンを搭載しており、ボタンを押すことでオン(標準モード)・オフを切り替えられるほか、運転中に長押しすると強モードに切り替えられるようになっている。

▲ヘッドの四隅に付いている「角ローラー」

▲操作ボタンはハンドルの先端に配置した電源ボタンだけだ

【次ページ】これまでとは明らかに違う掃除体験

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