ちょっと聞き慣れない、“アントラシート”という言葉。耳にして即座に「ああ、あの色」と頭に浮かぶ人は少ないかもしれません。このブラックに限りなく近いダークグレーは、フランスの伝統色。古来、靴などの革製品などに使われてきたもので、繊細な色合いを出すためには、たいへんな手間暇をかけた色付け作業を必要とします。
この難しい色合いをムーブメントに施すために採用されているのは、NAC仕上げと呼ばれるプラチナ合金を用いたコーティング技術。高級メゾン御用達のスイスの表面加工プロバイダー・STS社が3年もの開発期間をかけて完成させたもので、レイモンド・ウェイルでは2018年に発売された初代フリーランサースケルトンモデルにおいて搭載されています。
いわば2代目スケルトンモデルとでもいうべき新モデルでは、スケルトナイズされたダイヤルに加えて、大胆にもインデックスまで取り払ったフルスケルトン仕様を採用。
あらわになったフロントからは、ムーブメント内部の地板や受け、ローターに丁寧に施されたNAC仕上げの上品なツヤ、さらにはペルラージュ装飾やヘアライン加工といったスイス時計伝統の技術までも、目で見て楽しめます。
強烈なムーブメントの存在感を引き立てるべく、ステンレススティール製ケースやりゅうずはブラックPVD加工を施したオールブラックでシックに統一。ストラップにはパンチング加工を施したラバーストラップに、グレーのステッチを利かせて現代的な雰囲気に仕上げています。新旧の技術の粋を現代的なセンスで美しく凝縮させた1本です。
>> レイモンド・ウェイル
<文/&GP>
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