■高画質ディスプレイをモニターにして撮影できる
Xperia PROは、2020年夏に発売されたフラッグシップモデル、Xperia 1 IIがベース。仕様の多くは共通しており、6.5インチで縦横比21.9の4Kディスプレイを搭載しています。デジカメに搭載されるモニターは一般的に小型で、細かい部分までピントが合っているかなどを確認するのは難しいですよね。Xperia PROはカメラとHDMIケーブルでつなげるだけで高画質モニターに。スマホを操作するときと同じようにダブルタップやピンチ操作で拡大・縮小したり、画面の明るさを調整したりできます。また、フレームラインを表示して、トリミングされる部分の確認もできます。
ディスプレイはHDR対応で、BT.2020の色域や10bit入力に対応。ソニーがプロ向けの映像撮影機器で培った技術を応用し、クリエイターが意図する色調を忠実に再現できることが特徴。しかもXperia PROのディスプレイは、ソニー製のマスターモニターを基準に1台ずつ色温度を調整して出荷されるのとのこと。
■Xperiaシリーズで初めてミリ波の5Gに対応
ベースモデルであるXperia 1 IIとの最大の違いは、ミリ波の5Gに対応していること。
5Gに使われる周波数帯は2つあります。1つは6GHz以下で「Sub6(サブシックス)」と呼ばれるもの。従来から使われている周波数帯に近く、障害物の影響を受けにくく、電波が広く届きやすいことが利点。もう1つが「ミリ波(ミリハ)」で、27GHz以上の高い周波数帯を指します。Sub6よりも速い通信速度が得られ、遅延が少ないなどのメリットがありますが、障害物に弱く、電波が届きにくいことが弱点。
これまでに発売された5G対応のXperiaは、いずれもSub6のみに対応し、ミリ波には対応していませんでした。Xperia PROは、初めてSub6とミリ波の両方に対応。通信性能を高めるために、本体の上下左右4方向にアンテナを搭載しています。
5Gミリ波を受信している方向や送受信速度を可視化できる「Network Visualizer」も新たに搭載。小さくポップアップ表示させることもでき、5Gを使ってライブストリーミングを行う際に、安定した通信状態を維持するために役立ちそうです。
なお、ソニー製のデジタル一眼カメラ「α」など、USBテザリング機能に対応したカメラと接続し、撮影した写真や動画をXperia PRO経由でFTPサーバにアップロードすることもできます。
■どんな人に向いているのか?
Xperia PROは、税込で約25万円。Xperia 1 II(SIMフリーモデル)のおよそ2台分の価格です。誰にでも勧められる端末ではなく、むしろ、ものすごく限られた人をターゲットにしている製品です。
Xperia PROには、Xperia 1 IIと同様に、ZEISSレンズを採用するトリプルカメラを搭載し、「Photography Pro」「Cinematography Pro」といった、プロの映像クリエーターも活用できるアプリをプリインしています。それらで満足できるのであればXperia 1 IIで十分。それでは物足りず、高性能なカメラで捉えた映像を高画質のままでモニタリングしたり、5Gの高速通信でライブ配信したりしたいという人のために開発されたデバイスです。ソニーによると、具体的には、通信社やフリーランスの報道カメラマン、プロの映像クリエーター、YouTuberなどをターゲットにしているとのこと。
いち早く実機に触れてみたところ、Xperia 1 IIよりもひと回り大きく、重い。とはいえ、日常的に持ち歩くスマホとして支障のないサイズ。モニターとしては直感的に操作でき、ライブストリーミングはスマホでの再生イメージをそのまま確認できることが利点。ただし、5Gエリアは徐々に広がっているとはいえ、ミリ波のエリアはまだまだ限定的。早く広がってほしいものです。
映像の仕事をされている人はもちろん、趣味としてYouTubeやVlogを楽しんでいる人も一度触ってみる価値はあるかも。札幌、銀座、名古屋、大阪、福岡天神のソニーストアで1月28日から先行展示されていますよ。
>> Xperia Pro
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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