■氷室や冷凍室もAIで自動コントロール
新モデルで搭載したのが製氷室と冷凍室のAIによる自動制御機能だ。
「急速自動製氷」機能は、AIが家庭ごとの製氷室の利用タイミングを学習・分析し、氷を使うタイミングを予測することで、自動で急速製氷運転を実施するというもの。
「従来からボタンを操作して早く作ることはできましたが、AI化によって自動で急速に作ってくれるようになります。例えば朝に水筒に氷を入れて持っていくなど、朝に氷を使うことが多いと学習すると、夜の間に氷を作ってくれます。通常だと朝足りなくなるという場合でも、急速製氷で事前にたくさん作ることで朝たくさん使える、という機能です」(遊佐氏)
冷凍室には、新たに霜付きを抑制しながら冷凍する「霜ガード」機能が搭載された。
「扉を開閉すると外気が入って温度が上昇し、温度が上がった食材から水分が抜け、冷えて凍って霜になります。そこでAIが使用状況を分析し、庫内の温度変動を抑制する制御を行うことで霜付きを抑えます。扉開閉が多い時間帯の前に、しっかり冷やしこんで温度変動をなくすといった制御を行います」(遊佐氏)
■IoTにも対応し、「見守り」も利用できる
ここ数年で冷蔵庫にもWi-Fi機能を内蔵し、スマートフォンアプリなどと連携するメーカーが増えているが、三菱電機も2月発売のMXDシリーズも含め、いよいよWi-Fi対応を行った。上位モデルのWXDシリーズでは、Wi-Fiに接続し、スマートフォン向けの三菱電機家電統合アプリ「MyMU」を利用できる。
MyMUでは、冷蔵庫の使い方の案内や食材の保存方法などを紹介。さらに遠隔操作で急速製氷機能をオンにしたり、庫内の温度設定を変えたりできる。
「扉開閉のデータを取得し、どの部屋がよく使われているといったデータもアプリで見られます。また、離れた家庭の扉の開閉を確認することで、見守り的にも使えます」(遊佐氏)
置けるスマート大容量シリーズは冷蔵室とチルドルーム、冷凍室・製氷室、野菜室に加えて、氷点下ストッカーと瞬冷凍室と、6つの温度帯の部屋を備えているのがユニークな特徴だ。ただし、冷蔵室とチルドルーム、氷点下ストッカー、瞬冷凍室は微妙に温度帯が近く、使い分けが難しい部分もある。
「氷点下ストッカーはチルドルームとは別の部屋を設けており、肉・魚専用ルームになっています。肉や魚をここに入れて、加工食品とうまく使い分けることで、どこに何を入れたらいいのかが分かりやすくなり、チルドの整理もしやすくなります」(遊佐氏)
氷点下ストッカーは約-3℃~0℃と氷点下ながら、凍らせない温度制御というのが特徴となっており、瞬冷凍室は約-7℃と比較的高めの温度で冷凍するというのが特徴だ。
遊佐氏は実体験として、「切れちゃう瞬冷凍は離乳食作りに便利でした」と語る。
「最近は小分けパックがあるので小分けにすればいいですが、うちで離乳食を作っていた当時は、まとめて作ってスプーンですくって使う……といった使い方が便利でした。最近ではミートソースなどをまとめて作って、在宅勤務中の短い昼休みにパスタだけをゆで、ミートソースを温めてあえるだけでお昼ご飯が済むなど、便利に使っています」(遊佐氏)
コロナ禍でステイホーム時間が延びただけでなく、まとめ買いで食材をより長持ちさせたいという需要も増えている。そんな中で、生の食材をより低温にして鮮度を保持できる氷点下ストッカーや、解凍しないでそのまま使える切れちゃう瞬冷凍はかなり重宝しそうだ。
「全室独立おまかせAIによって全体がAI化することで、自動で快適に冷蔵庫を意識せずに使ってもらえる形になりました。冷蔵庫は毎日使うものなので、家庭の生活に寄り添った機能を、今後もしっかりやっていきたいです」(遊佐氏)
<取材・文/安蔵靖志>
安蔵靖志|IT・家電ジャーナリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー、スマートマスター。AllAbout家電ガイド。ITや家電に関する記事執筆のほか、家電の専門家としてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。Facebookはこちら
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