まずはカメラ。背面には超広角+広角+ 望遠のトリプルレンズカメラを搭載。被写体との距離を細かく計測する「3D iToFセンサー」も備えています。大きく進化したのは望遠レンズ。世界初の可変式望遠レンズを採用し、焦点距離が70mmと105mmに切り替わる仕組み。つまり1台で、16mm、24mm、70mm、105mmで撮影できるわけです。
すべてのレンズで高精度で追従するコンティニュアスAFが使えることも特徴。望遠レンズで撮影しても、動く被写体に素早くピントを合わせられます。毎秒最大60回のAF/AE演算が可能で、最大20コマ/秒のAF/AE追従連写機能も前モデルから引き続き搭載されています。
なお、従来のXperia 1/1 IIには「カメラ」アプリに加えて、デジタル一眼ライクに撮影設定ができる「Photography Pro」というアプリが搭載されていました。Xperia 1 IIIでは、この「Photography Pro」に「カメラ」を統合。「Photography Pro」で「BASIC」モードを選択すると、従来の「カメラ」アプリと同様に、シンプルな操作性で写真や動画を撮影できるとのこと。
動画はソニー独自のアルゴリズムによる手ブレ補正を強化。暗い場所で歩きながらでも、なめらかな映像が撮影できるとのこと。映画のような趣きのある映像が撮れる「Cinematography Pro」も引き続き搭載。4K HDR 120fpsの美しいスローモーション撮影ができることも他社のモデルに比べた優位性と言えるでしょう。
■4K HDRディスプレイはリフレッシュレートが120Hzに
縦横比が21:9の有機ELディスプレイは、前モデルと同じく4Kで、HDRに対応。それだけでもトップクラスのスペックですが、さらにリフレッシュレートが最大120Hzになり、動画やゲームを楽しむには申し分のない仕様に。120Hzとは1秒間に120回画面表示が更新することを意味しますが、各フレーム間に黒い画面を挿入して、実質240Hzの残像低減技術を実現し、タッチ検出も240Hzで行われる仕組み。ゲームを楽しむための機能も強化されています。
特筆すべき進化点は、まだあります。そもそもXperia 1 IIの音質は、スマホの中では群を抜くほど良かったのですが、Xperia 1 IIIでは、さらに音質向上が図られています。内蔵スピーカーは、フロント側に左右均等(横向きにした場合)に配置し、音圧を約40%向上。サブスクリプションの音楽も聴くときも、ストリーミング動画を観るときも、イヤホンなしで迫力ある音を楽しめます。
対応のヘッドフォンを使うと、ソニー独自の「360 Spatial Sound」も楽しめます。通常のステレオ音源から、臨場感もある立体的な音場を作り出す仕組みで、自分の耳の形状に合わせた最適化も行えるとのこと。
内蔵スピーカーとヘッドフォン出力で音を聴かせてもらいましたが、昨年発売されたXperia 1 II/5 IIと比べて、はっきりわかるほど音質が向上しています。内蔵スピーカーは前モデルよりも音量をやや大きくでき、低音の響きから高音のボーカルまでクリアに聴こえる印象。「360 Spatial Sound」は、ライブ会場にいるかのような立体的な音を楽しめます。サウンドはスマホの一機能に過ぎませんが、これを目当てに購入するのもアリでしょう。
CPUは5G向けの最高峰「Snapdragon 888」を採用し、メモリはRAMが12GBで、ROMは256GBまたは512GB。Xperia 1 IIの5G通信方式はSub 6だけでしたが、Xperia 1 IIIはSub 6とミリ波の両方に対応するモデルも用意されます。ただし、販売する国・地域によって仕様が異なるそうで、日本向けモデルがミリ波に対応するかどうかは明らかにされていません。
バッテリー容量は4500mAhなので電池持ちも心配無用。3年使っても劣化しにくい技術が用いられています。ワイヤレス充電にも対応し、ワイヤレス充電対応の他のデバイスに “おすそわけ充電” 機能も備えています。これは、サムスンやファーウェイなどが搭載済みなので、ようやく他社に追いついたと言うべきでしょう。
Xperia 1 IIIは、基本性能、ディスプレイ、カメラ、音質いずれも最高峰レベル。「ここが残念」「これがあったらいいのに」という死角は見当たりません。とにかく一番いいスマホが欲しい! という人は、期待してよさそうです。