■最大の特徴はライカと共同開発したカメラ
最近のスマホは、複数のレンズを搭載するのが主流ですが、AQUOS R6のカメラは単眼。背面にスマホとしては大きめのカメラが、その存在を主張するように搭載されています。
センサーやレンズの設計から画質の調整までをライカと共同で開発したというカメラシステムは、スマホでは最大級の1インチの画像センサーを搭載。スマホの薄いボディに、高級コンパクトデジカメと同等の大型センサーの搭載を実現しています。F値が1.9で、焦点距離が19mm相当のレンズは、ライカのブランド「ズミクロン」を冠しており、ライカが画質を保証したと捉えていいでしょう。
7枚のレンズを通して大型センサーに集光される仕組みで、暗い場所でも明るい画質で撮影でき、自然な背景ボケが得られることも利点。オートの「写真」+AIによるシーン認識で、十分に満足がいく画質で撮れそうですが、ほぼ真っ暗の状況でも星空を撮影できる「ナイト」モードや、好みのボケ具合をコントロールできる「背景ぼかし」モードなども備えています。
前モデルのAQUOS R5Gは8Kビデオを撮影できましたが、AQUOS R6のビデオ撮影の解像度は4Kまで。とはいえ、センサーとレンズの進化による画質向上は期待でき、撮影した4Kビデオを8K HDR画質にアップコンバートして、AQUOSの8Kテレビで視聴もできます。なお、インカメラは約1260万画素で、ハイエンドモデルとしては標準的です。
■IGZOとOLEDの長所を融合させた新開発ディスプレイを初搭載
もうひとつの特徴は、AQUOS Rシリーズとして初めてOLED(有機ELディスプレイ)を採用したこと。従来モデルは、省電力性能に優れたIGZO液晶ディスプレイを搭載していましたが、AQUOS R6は、IGZOの省電力性能とOLEDの鮮明な画質を両立させた「Pro IGZO OLED」を初搭載しています。
リフレッシュレートは最大240Hz。画面表示に変化がない場合は1Hzになり、表示するコンテンツによって駆動速度が自動的に切り替わり、無駄な電力消費を省く仕組みになっています。10億色の色彩階調と2000万:1の高コントラスト、スマホでは最高の2000nitのピーク輝度など、ディスプレイのスペックも業界トップクラス。実際に、HDR画質の映像を表示させた画面を見せてもらいましたが、従来のスマホの常識を覆すような、明るく鮮やかな画質に驚かされました。
■ハードウエアの基本仕様も現行機種でトップクラス
プロセッサーには、現行機種向けでは最高峰のスペックを誇る「Snapdragon 888 5G」を採用。最大2.8GHzのオクタコアCPUで、サクサクと操作でき、カメラアプリの高度な演算処理もスピーディにこなすことが期待されます。
内蔵メモリはRAMが12GBで、ROM(ストレージ)は128GB。microSD(最大1TB)を挿して、ストレージ容量を拡張することも可能。5000mAhの大容量バッテリーを搭載しつつ、「Pro IGZO OLED」の省電力効果も得られるので、電池持ちにも不安要素はなさそうです。
■ワンタッチで登録できる最新の指紋センサーも要注目!
AQUOS R6には、さらにもうひとつ特筆すべき機能が搭載されています。クアルコムが開発した最新の指紋センサー「3D Sonic Max」です。
ディスプレイ内に搭載された指紋センサーは、従来比で11倍の検出面積を持ち、1回触れるだけで登録が完了し、ロック解除もスピーディーに行えます。なお、検出面積が広いので、指2本分の指紋情報を取得することもでき、1つの指紋で認証する場合よりも20倍も安全性を高めることもできます。
これまで指紋の登録に時間がかかったり、スムーズにロックを解除できないことが多かったという人は試してみる価値があるでしょう。
シャープは、ミドルレンジのAQUOS senseシリーズの売れ行きが好調で、国内市場では4年連続でAndroidスマホの販売台数1位を維持しています。しかし、フラッグシップのハイスペックモデルは性能は高いものの、他社を圧倒するような突出した機能がなく、やや存在感が薄い状況でした。
今夏発売されるAQUOS R6は、カメラもディスプレイもパフォーマンスも、今のところは期待大。フラッグシップにふさわしい強い個性を持つモデルとして注目されそうです。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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