バイオハザードも恐くない!?最新のテスラは“生物兵器防衛モード”付き

これは何かの間違いに違いない? 単なる誤訳か、それとも、少々誇張を伴った意訳なのか?

もちろんこれまでも、要人向けに防弾ガラスや対地雷の厚底装甲を備えた特注リムジンは存在しました。しかし市販車、それも量産車に生物兵器防衛モードとは、これいかに?

そこで、テスラモーターズのニコラ・ヴィレジュ社長に直撃しました。本当なの?

「ええ、もちろん本当ですよ。新しいモデルSにオプション設定されているので、いつでも利用できます」

テスラ日本法人代表 ニコラ・ヴィレジェ氏

なんと、生物兵器防衛モードは本当に存在するというのです。

「どうぞ試してみてください」

そういうニコラさんに案内されて、モデルSに乗り込みました。特大タブレットを縦にハメ込んだかのような、例のセンターコンソールがエアコン操作画面に変わりました。

テスラ モデルS テスラHEPAフィルター

するとそこには、バイオハザードを意味するアイコンが並んでいるではないですか!

テスラ モデルS テスラHEPAフィルター

「単なる宣伝文句ではありませんよ。実際に機能して、車内にいれば軍事レベルの生物兵器による攻撃を、文字どおり避けられるのです」

そんな危険な攻撃にさらされる状況など想像したくもありませんが、テスラは決して、誇張していっているのではありません。

テスラHEPAフィルターは、病院やクリーンルーム、そして、宇宙産業で使われている空気ろ過システムをヒントに開発されたもの。間もなく日本に上陸予定のSUV「モデルX」には導入済みのもので、衝突などから乗員を守るのと同様、大気汚染からも乗る人を守ろうという理念に基づいています。

実際、米カリフォルニアのラッシュアワー時の高速道路、悪臭漂う湿地帯、ゴミの埋め立て地、牛の牧場、中国の大都市など、リアルワールドでのテストを重ねてきたそうです。

いわれてみれば、北京などの中国都市部では、PM2.5などの問題が取り沙汰されて久しいですよね。そんな殺人的な空気汚染に対し、これまでクルマに乗る人は、実効的な対抗手段を持っていなかったのが事実。

なんでも、WHO(世界保健機構)によると、PM2.5の1年間の平均レベルは、北京で56μg/m3、メキシコシティで25μg/m3、香港で21μg/m3…。

数値だけ見てもちょっとピンときませんが、2013年に発表されたハーバード大学の研究結果によると、これらの汚染レベルによって北京で23カ月、メキシコシティで10カ月、香港で9カ月も平均寿命が短くなるといわれています。まさに命にかかわる問題なのです。

テスラが独自に行ったテストでは、PM2.5のレベルが1000μg/m3(!)という、とんでもない劣悪な環境のドーム内にクルマを入れても、テスラHEPAフィルターの生物兵器防衛モードを発動させると、時間にして2分少々でPM2.5を検出限界値以下にまで清浄できたとのこと。テスラ モデルX テスラHEPAフィルター

これはモデルXを使ってのテスト結果ですが、今回、モデルSにオプション設定されたのは同一のシステム。

ちなみにモデルSの場合、テスラHEPAフィルターのオプション価格は37万6000円。大気汚染が深刻なエリアにおける命の対価としては、お買い得なのではないでしょうか?

テスラ モデルS

(文・写真/ブンタ)

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