2012年に日本へ上陸した320dは、ハンドリングがBMWらしく軽快な上に、力強くて燃費も上々。しかも、走り出せばディーゼルとは思えないほど静か。つまり、パフォーマンスが高次元でバランスし、とても満足のいく出来栄えでした。
当然のごとく320dは、あっという間に3シリーズの人気グレードに。それだけ高い完成度を誇るモデルでしたから、正直なところ、新エンジンにスイッチする必要性はあまり感じませんでした。それでも今回、ディーゼルエンジンを進化させてきたのは、ドイツ・バイエルンのエンジン屋を自認する、BMWのプライドでしょうか?
新しいディーゼルエンジンは、最新のコモンレールダイレクトインジェクションや可変ジオメトリー・ターボチャージャーなど、BMWの最新技術を余すところなく投入。320dの新旧エンジンを比較すると、最高出力は6馬力アップの190馬力へ、最大トルクは2.1kg-mアップの40.8kg-mへと、それぞれパフォーマンスアップしています。
そして特筆すべきは、燃料消費率(JC08モード)で、こちらは2km/Lアップの21.4km/Lに。出力とトルクは約3〜4%アップなのに対し、燃費は約10%も改善しています。すごいぞ、BMW!
ちなみに、BMWのディーゼルエンジンは、燃料となる軽油のほかに、化学反応でNOxを窒素と水に還元するための“アドブルー(尿素水溶液)”を補充する手間は必要ありません。NOxを吸蔵還元触媒の中に一時的に吸蔵した後、水、窒素、二酸化炭素に還元、排出する仕組みを採用しているからです。また、黒鉛やススといった排ガス中の粒子状物質は、DPF(粒子状物質除去フィルター)とエンジン制御によって燃焼させ、除去しています。
これらによって、世界で最も厳しいとされる日本のディーゼル排出ガス基準“ポスト新長期規制”に適合。結果、エコカー減税の対象モデルとなり、自動車取得税・重量税が免税(100%減税)に。翌年度の自動車税も75%減税となります。
このほか“レーン・チェンジ・ウォーニング”を標準装備とし、運転支援システムを充実させた点もニュー320dの注目ポイント。ちなみに価格は、セダンが512万円から、ツーリングは534万円からとなっています。
さて、そんな新世代のクリーンディーゼルを搭載した320dのセダンとツーリングに、BMWの創業100 周年を記念する特別限定車が設定されました。このセレブレーション・エディション“スタイルエッジ”は、スポーティなグレード「Mスポーツ」をベースにしたもので、セダンは577万円、ツーリングは599万円となっています。
セダン、ツーリングともに、専用の“18 インチ Mライト・アロイ・ホイール”と、人気の純正アクセサリー“BMW M パフォーマンス ブラック・キドニー・グリル”を最初から装備。グッとスタイリッシュに仕立てています。
またインテリアトリムも、ピアノの製作工程と同様のピアノ・ラッカー技術を利用するなど、ワンランク上の装いに。元々3シリーズのインテリアはシンプルなので、これを歓迎するドライバーは少なくないはず。
ボディカラーはセダン、ツーリングともに、アルピンホワイト、もしくはブラックサファイアの選択が可能です。実力十分の新世代のディーゼルエンジンを搭載した特別な限定車。320dを狙っていた方には千載一遇のチャンスかもしれません。
(文/ブンタ)
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